車の移動とバルコニーの片づけ
マンションの大規模修繕工事には工事とは直接関係しないが、必ず対応しなければならないことがあります。それは駐車場の移動とバルコニーの片づけです。
車の移動は、工事に際し駐車場の一部が使用できなくなるために、該当する駐車車両の移動が工事期間中必要となるものです。私たちは設計図書の中に、仮設計画でどの部分で何台の車両移動が必要となるかを示し、管理組合の役員さんと協議します。そして該当する方の車両移動をお願いすることになるのです。
さらに移動する車両の仮の駐車場の費用は設計図書に織り込みます。それを受けて工事業者は管理組合の役員さんと協議しながら、近くて適当な場所を探して仮駐車場の確保となるのです。当然移動される方の駐車料金は従前どおりですが、ここで管理組合としては移動される方の負担軽減と協力の意味で、駐車料金の手当的の措置を考慮されるのが一般的です。したがって、管理組合の役員の方々は駐車場確保の直接的な苦労はないと言えます。
一方、バルコニーの片づけですが、私たちは設計段階で居住者用の仮の倉庫を提案しています。もちろん設置費用は工事費の中に織り込んで業者に設置してもらい、仮倉庫の管理は管理組合で行っていただきます。でもバルコニーにはいろんなものがあります。時には仮倉庫に移動できなくて、仮設足場に仮置きしていることもあります。
問題は高齢者の多いマンションです。バルコニーの片づけが自分ではできない場合があるので、その時は工事請負業者のアシストが必要となります。時には移動や処分費が発生することもあります。もちろん工事に先立つバルコニーの片づけの状況等の情報は工事関係者で共有し、関係者で協力した中で進めてゆきます。
その他、洗濯物のバルコニーへの使用可否は、指摘がなくてもどの業者でも適切に対応しているようです。
車の移動やバルコニーの片づけなどは、大規模修繕工事にはついて回ることなので、管理組合の役員さんや工事業者の作業と位置付けてしまうとなかなか困難な対応となってしまうのです。
そのためには設計監理者も、円滑に対応できるよう事前の準備と協力は欠かせません。