ブログ

建太郎の仕事は建物の瑕疵を扱う専門店ではないが、時々欠陥建築にお付き合いすることがある。

最近特に多いのは、築後数年以内のコンクリートのひび割れ・タイルの浮き・屋上防水の漏水などです。

外壁材の剥落事故はテレビなどマスメディアでも取り上げられているし、各都道府県などのホームページでは「既存建築物における外壁タイル等の落下防止について」といったページもみられる。特殊建築物の定期報告の項目の中に外壁タイルの全面打検が求められていることも外壁材の剥落事故の予防的な行為を求めている査証でしょう。

実際に建太郎のところにも、タイルの浮き問題に関する管理組合からの相談は増加しているのは実状です。

マンションでのクレームの現場はどうなっているのかを建太郎の経験で見てみよう。

まず管理組合がこのような点について交渉する窓口は販売したデベロッパーに外なりません。管理会社や建設会社ではないことをまず認識すべきです。

マンションを買うことはあきらかに不動産取引です。マンションの場合、売り主側は、土地と建物を仕入れてユーザーに小売りする事業である限り、青田買いのマンションであればこそユーザーに代わって品質検査したものを販売する責任があるように思えます。

残念ながら瑕疵問題に直面した場合、ユーザー側の方はどのようなことが原因で欠陥が生じたのかを考えるが、これは正しくなく、事の事実を売り主と買主(ユーザー)が共有したうえで、このような事態に至ったのは購入者(ユーザー)に責任があるのかを販売側に問いかける必要があります。

そうすると販売会社・建設会社・管理会社は鉄のトライアングルならぬチームとなり、時には窓口担当者が交代するなどの事態になりがちです。理由はこのような原因が販売チーム側にあることを自覚しながらも認めるわけにゆかない事情があるからです。

一方管理組合側は、一致団結した炎の結束が求められます。建太郎がこのような問題に介在して力量を発揮するためには、少なくとも役員の皆様の結束が絶対条件となります。交渉相手と対峙した場面で、後ろを振り向けば誰もいなかったでは戦えないことは当たり前でしょう。問題は管理組合に降りかかった問題だからです。

当然このような問題は施工サイドに問題がある場合が殆どで、今やらなければ大規模修繕で瑕疵工事のリカバリーのために修繕積立金の無駄使いにつながることも管理組合に理解していただくことが大切な前提となります。

建太郎は技術資料や建設段階の資料、販売時のパンフレットなどを精査しながら、先方の主張する事象を客観的かつ論理的に交渉を進めてゆきます。これらはすべて文書として記録し、その後の公的な場面の証拠として準備します。当然決めつけることや感情は排除して事務的に進めます。

マンション問題をお手伝いできる条件は、どのような場面であろうと少なくとも管理組合役員の炎の結束に他ならないことは言うまでもありません。

マンションの大規模修繕において設計監理方式は定着しつつあります。

なぜ設計監理方式かと言えば、工事の資金が各々の区分所有者が毎月負担する修繕積立金であるからです。自分たちの積み立てたお金がどのような工事に使われ、どのような経過を経て工事業者に発注されたのかを明確にさせる必要があるからです。

つまり工事の原資には公金的性格があり、ガラス張りの仕組みが求められていて、設計から業者選定、更には工事の品質審査までを権利者に公開する義務も求められています。

ところがパートナーとして管理組合の立場に立たなければならないはずが、一部の不届きなコンサルタントの存在も社会問題化しつつある。

ここで発注者である管理組合が、自分たちの本当の味方をどのようにして選定するのかが問われています。コンサル料が高い・安いで決める。工事業者が紹介したコンサルタントに頼む。これらは大変危険な選定方法と言わざるを得ません。理由はカタチだけの設計監理方式となることが懸念されます。

街角で見かけた看板です。看板の一番上に工事会社の名前、その下に発注者:○○マンション大規模修繕工事、一番下に設計監理:△△建築設計事務所 この看板を見るとパートナーである設計監理者は工事会社が推薦したであろうと思われる。通常は○○マンション大規模修繕工事・設計監理:△△建築設計事務所・施工:□□建設となるはずでしょう。

パートナーの立ち位置は下図のように、発注者である管理組合の意思を尊重し寄り添う立場であるべきです。

 

本当に管理組合の味方となって活躍してくれるパートナーは、工事業者との関係において業務としては事務的に行え、また自らの受注取引先が建設関係の業者や管理会社であってはならなく、関係が濃厚であればあるほど管理組合にとって忠実な業務が行えるとは到底考えられません。この辺りの見立ては本当に困難であるが、後々の事を考えるとひと手間・二手間をかけることを避けてはいけません。

調査・診断・建替・維持管理など
何でもご相談下さい!

100年後を考えたストック建築も、
今までの設計思想を変えると可能となります。
建診協は今だけではなく、未来も見定めて進みます。