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昨日(9月21日)、島根県松江市に行ってきました。目的は管理組合様からのご要請で、居住者様を対象とした勉強会です。

32戸のマンションなのだが、勉強会に参加された方が二十数名で、まずこの参加熱意に驚かされました。マンションの大半が無関心を嘆かれているのが現実の中で。

ご訪問したマンションの様子を拝見すると、やはり和気あいあいとした理事会の活発な活動です。特に小規模のマンションの場合、役員を経験する機会も増え、それにつれリーダーシップをきちんと発揮される方も現れるからでしょう。

勉強会の後30分ほど、理事会や修繕委員会の方が十数名残られ、小生を交えた質疑応答ならびに意見交換が行われました。

おそらくこのような活動が続く限り、こちらのマンションは暮らしやすいマンションであり続けるのだろうと思います。

最近管理組合からお声掛り頂いて訪問する機会が増えました。それも岡山にとどまらず、四国や広島、山陰です。常々管理組合の方にお願いしているのは、理事会で相談のうえ「外部の専門家を呼んでみよう」といった合意がなされたら、出向いて行くことをお伝えしています。ぜひ小生を呼びつける際には、理事会の手続きをお願いいたします。初回の1回は無料手弁当です。

契約書について

一般の方が契約書を取り交わすことはあまりないことかもしれません。でも私たちの生活の中では契約書に代わる、取扱い説明書や注意事項を記した文書には多く振れる機会は多くあると思います。

建築の生産現場に携わる私たちは、契約書を取り交わすことは日常の事です。委託契約書・工事請負契約書などです。現場の監理に使用する設計図書に加え、契約書や現場説明書なども一冊に編刷して監理業務にあたります。

時々工事施工者の現場担当者(現場代理人)の方が、契約事項を見落とすことがあるので、この辺りにも施工品質のチェックと合わせて気を付けなければならないのです。

マンションにおいては、管理組合と管理業者の間で、管理委託契約書を取り交わします。当然双方の合意事項を文書化したのが、契約書であり契約事項の履行義務がお互いにあります。だから契約事項が適正に履行されているか否かのチェックを、当事者同士で確認することは大変重要なことなのです。

残念ながらマンションの場合によくお聞きする話が、管理業者の不満です。契約書に基づいて権利義務を履行することが定められています。契約事項に忠実であることが大原則となります。そこには緊張感があって然るべきでしょう。

管理業者との関係は、「お付き合いではなく取引である」といった認識が希薄なような気がします。このことを認識していれば、契約事項にない提案などの適否は気付かれるはずです。

建設業界の今

政府は国土強靭化政策として、建設インフラを強化しようと検討しているものの、現場では技術者や現場で施工する職人さんが不足してなかなか思うように進まない状況となっている。

そこで建設関連の人件費の適正化も検討事項となっているが、これも市場の実勢に馴染むまでには至っていない。併せて資材の高騰もあり建設業界の利益確保の点も改善されてはいないようである。

リーマンショック以降と人口減少は市場の縮小を予測させ、各企業はなかなか積極的に設備投資や人材確保を進めるには慎重になっている。つまりやらなければならない事業(仕事)はたくさんあるのだが、いつまた何時リーマンショックのような経済変動が起こるとも限らないのでは、安心して未来への備えができない。これが委縮している今の状況かなと思われる。

このような状況ということで、マンションの大規模修繕工事にもその影響は出てきている。例えば現場の所長がいない、職人がいない。だから工事の着工時期を示してもその通りに手配ができない。やがては工事コストが高騰するといったことまで生じかねない。

建設業界も混乱期には必ず全く新しい発想の経営者が登場するものである。過去を否定し、現状に疑問を抱くことから、より時代にマッチしたやり方が見えてくるのかもしれない、そのためには未来に挑戦する勇気こそが最大の突破力となるのでしょう。

マンションの管理組合の役員にとって大規模修繕工事は大きな負担となります。通常の管理運営であればその負担はさほどではないでしょうが、大規模修繕は人生で何度も経験するものではありません。

少し大規模修繕の事を考えてみますと、準備に始まりそして終わりまでの期間が任期中で片付くものではなく長期にわたることです。そして居住者の合意形成に神経を使うことでしょう。また工事中のイメージが湧かないこともあって、修繕委員会・理事会・総会の進め方、さらには施工業者をどのようにして決定すればいいのか、工事の手抜きは心配ないかなどなど。心配事は尽きません。

私たちはマンションの大規模修繕工事に限らず、社会生活を送るうえで、節目節目では誰を味方に付けるかで行く末が決まるといっても過言ではないと思います。

大規模修繕でも経験が豊富で優秀な人が味方に付けば、役員の方の負担と責任はかなり緩和されると思います。工事全般のすべての手順を示し、管理組合として意思決定しなければならない事項とタイミングなどの理解です。そして工事の内容と予算金額の調整、更には施工業者選定と施工品質の審査。工事に付帯する仮の駐車場の確保など、すべての道筋の案内をやってくれるはずです。

ここで味方の見つけ方が問われます。先ず会社を基準に選ぶのか人を基準に選ぶかです。よくあるのが企業イメージとかブランドです。私たちの経験では、大規模修繕に限らず大概のことは会社ではなく人の能力で行うものです。だから担当する人の力量を図ることが先決でしょう。他方、所属する会社の社会に向けての姿勢にも目を向ける必要もあります。

更には味方に委託する金額が高いか安いかです。この高い安いは誰でもわかる基準です。ここで大切なのは、人の能力を活用して管理組合の負担を減らしながら、より高品質の大規模修繕工事を実現させるためには、何が必要で、どんなことに気を付けなければならないかがお分かりいただけると思います。「委託金額が比較して安いから、安い方に決めます」、このような安易な考えでは、本当に失敗しない大規模修繕を望んでいるのかどうかが疑われます。安いのは安いなりの何かがあるのではないか?このような視点で考えることも必要でしょう。

やはり明確な選定基準に沿って、「この人だったら任せて大丈夫」だと選定経過と理由を、管理組合(区分所有者)に対し明確に説明できる能力が役員の方にも問われているのでしょう。任された人は当然のこと、任した発注者責任もしっかり自覚しなければならないのです。

大規模修繕工事の成否は、優れた味方の選定にかかっています。ここを間違うとマンション内のコミュニティさえも壊れてしまう危険をはらんでいます。

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