大規模修繕工事のポリシー
大規模修繕工事って何をするの?建物をきれいにすること?
綺麗にすることが大規模修繕工事の目的ではありません。目的は建物を劣化から守ることです。この辺りのことを管理組合の皆さんと意識の共有がなされていないと、混乱のもととなる場合があります。
限られた予算の中で工事を行うのだから当然だろうと思いますが、やはり折角足場を掛けての大工事なのだから、気持ちは綺麗にしたい。
建物を守るといった点で考えると、まず、危険と思しき剥落などの個所は絶対に改修を行わなければなりません。それから漏水などの事象の現れている部分は修繕します。更にできれば、放置しておけば将来建物にダメージを生じさせる部分の未然の改修です。この三つの考え方は大変重要となります。
多くの事例を見てきましたが、何かを塗布すれば当面はきれいになります。綺麗にはなっているが、肝心の部分の補修が不十分。例えば下地補修や防水層の剥離などです。
素人の人には隠れた部分の施工品質を見抜く力はありません。ペンキを塗ることが大規模修繕工事ではないのです。塗装業者は塗装を、防水業者は防水をやりたがります。それを生業としているからと言えばそうでしょう。
建物を守るといった点でいえば、設備や付帯施設も含めたトータルで考えなければなりません。場合によれば保守点検を容易にするための改善、使い勝手の悪いところはの改良をする。このような視点がなければ綺麗にすることに捉われて肝心なことを置き忘れるかもしれません。
大規模修繕工事は保全行為の一部なのだということを認識する必要があります。「守りながら綺麗にする」。このことが求められるポリシーです。