予算オーバー
先日マンション勉強会で、参加者の方から質問がありました。
大規模修繕工事に向けて手続きが進行しているのだが、「工事予定額が積立金の予算をオーバーした。どうしたらよいのか?」といった趣旨の質問でした。もちろん私たちが関与していない別のパートナーの案件です。
ご質問の回答としては、火急的な事項のものとか、その他積み残してもやむを得ない部分とか、優先順位をつけて進めるしかないでしょう。資金不足は先送りするか、一時金の負担か、借り入れを考えるかなど、対応策の方法はあまりありません。「だからパートナーと工事内容を含めその辺りをよく相談されたらいかがですか」とお答えしました。
引き続きの質問者発言が、パートナーは「すべて実施しなければいけないと言っている」でした。これには少々驚いたのです。だって資金手当ての出来ない工事など考えられないのですから。
普通の感覚を持った設計者がパートナーだったら、工事内容と予算のバランスを計りながら次のステップに進むことが当然だと考えているからです。ましてや修繕積立金の取り崩しは将来なにか必要に迫られた出費が生じることを考えると、100%の取り崩しは危険であり、私たちの場合は「80%程度にしてください」と管理組合には進言しています。
この質問にあるように、大規模修繕工事の資金手当て(予算)が足りないといった話は時々耳にします。このように予算不足に対し、管理組合の側に立って適切なアドバイスができるパートナー(設計者)を味方に付けることは、単に技術的なことだけではなく、皆さんが毎月積み立てた大切な資産を効率的で適切に活用するうえで大変重要だと思います。
あまりにも委託金額の高い安いだけでパートナーを選定している管理組合の多さに、一抹の危うさを感じます。