耐震診断
マンションの勉強会などで、参加者から耐震診断について相談されることがあります。地震が来てもマンションが大丈夫なのだろうか? 現実、耐震補強工事ができるのか否かの問題もあります。
ここで国の耐震診断に対する政策について理解しておきましょう。平成25年に改正された「耐震改修促進法」によると、法改正のひとつとして、大規模建築物等に係る耐震診断結果の報告の義務付けがあります。対象となる建築物は、昭和56年5月31日以前に建てられた一定規模以上の幼稚園・保育園、小・中学校、老人ホーム、ホテル・旅館、美術館・図書館などです。この中で公立の幼稚園・保育園、小・中学校などは平成27年度までに100%の耐震化率を達成する目標となっています。
このたびの改正では、マンションを含む住宅や小規模建築物についても、耐震診断及び必要に応じた耐震改修の努力義務が創設されています。
耐震診断には国や各自治体からの補助制度も整備されているが、法的に義務付けられた建築物以外の耐震診断はあまり進んでいません。その理由は耐震診断、そして耐震改修工事に多額の資金が必要となるからです。
しかし法的に義務付けられたホテル・旅館などの施設では、多額の費用がかかっても耐震診断を行って、そして耐震補強工事まで進むのか、もしくは廃業するのかといった、経営的に重大な決断が迫られるのです。
「耐震改修促進法」をクリアした建築物には、「基準適合認定建築物マーク」が付与されるので、消防法の丸適マークを取得するのと同様に、これらの表示のない施設であればお客様に対するアピールもできないこととなるでしょう。
マンションの場合は、費用は別としても居住者が生活している中で実際に補強工事ができるのか、環境的な制約や技術的な制約などで補強方法は限定されます。しかし耐震改修の努力義務は存在します。