正しい設計監理方式を考える
マンションの大規模修繕において設計監理方式は定着しつつあります。
なぜ設計監理方式かと言えば、工事の資金が各々の区分所有者が毎月負担する修繕積立金であるからです。自分たちの積み立てたお金がどのような工事に使われ、どのような経過を経て工事業者に発注されたのかを明確にさせる必要があるからです。
つまり工事の原資には公金的性格があり、ガラス張りの仕組みが求められていて、設計から業者選定、更には工事の品質審査までを権利者に公開する義務も求められています。
ところがパートナーとして管理組合の立場に立たなければならないはずが、一部の不届きなコンサルタントの存在も社会問題化しつつある。
ここで発注者である管理組合が、自分たちの本当の味方をどのようにして選定するのかが問われています。コンサル料が高い・安いで決める。工事業者が紹介したコンサルタントに頼む。これらは大変危険な選定方法と言わざるを得ません。理由はカタチだけの設計監理方式となることが懸念されます。
街角で見かけた看板です。看板の一番上に工事会社の名前、その下に発注者:○○マンション大規模修繕工事、一番下に設計監理:△△建築設計事務所 この看板を見るとパートナーである設計監理者は工事会社が推薦したであろうと思われる。通常は○○マンション大規模修繕工事・設計監理:△△建築設計事務所・施工:□□建設となるはずでしょう。
パートナーの立ち位置は下図のように、発注者である管理組合の意思を尊重し寄り添う立場であるべきです。
本当に管理組合の味方となって活躍してくれるパートナーは、工事業者との関係において業務としては事務的に行え、また自らの受注取引先が建設関係の業者や管理会社であってはならなく、関係が濃厚であればあるほど管理組合にとって忠実な業務が行えるとは到底考えられません。この辺りの見立ては本当に困難であるが、後々の事を考えるとひと手間・二手間をかけることを避けてはいけません。