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業界の常識?世間の非常識?(その二)

Q:屋上の雨漏りがひどいのだが、工事をしたゼネコンが本気で対応してくれない。 

とある築後5年ほどの高級マンションの理事長から電話がありました。

入居後雨漏りがあって、「工事会社に言ってもきちんと対応してくれない。」「どうしたらいいのか分からない」という内容でした。

そこで私は「とりあえず屋上の様子を見させてください」と言って後日確認に行きました。 

屋上防水の状態は、一目でわかるいい加減な工事。防水層の下地がガタガタ。釘は飛び出している。排水口の周りの粗雑な工事。

元請工事会社は一部上場のゼネコン。販売も有名不動産会社。しかし実際の工事は丸投げ工事でした。 

理事長はこの後改善させるにはどうしたら良いのかアドバイスを求めてきました。

理事長に対し私は、以下の三項目を伝えました。

①管理組合全体が一致団結すること。特に理事会役員が同じ意思を共有すること。②交渉相手は工事を請負ったゼネコンではなく、取引をした不動産会社である。

③言葉ではなく文書での確認作業が必要である。 

ここからが大変。時間がかかりました。

不動産会社との協議です。当然工事を請負ったゼネコンスタッフも同席です。

まず、屋上防水の不具合を認めさせるのに数ヶ月。防水保証書の効力を認めさせるのに多少の日数。 

販売責任を認めさせる。(瑕疵物件の販売です)

このことは大変だったが、決定的な決め手がありました。それは販売時のパンフレットでした。

高級パンフレットに、「屋上の水張り試験を行なって防水機能が正常にあることを確認する」旨の記載です。

私は「このパンフレットはこのマンション用のパンフレットで、水張り試験をすると書いてあるが、本当に実施したのか」「行なったのであれば写真の1枚でもあろう」と問い詰めました。

これには不動産会社のスタッフもぶち切れ。「今から水張り試験をやる」。

私は「やめてくれ、雨漏りが発生したら住戸内や家財道具にも損傷が発生する」と言いました。 

この頃は文書を通じた戦でした。

このバトルで、ゼネコンスタッフが何人交代したことか。個人的にでも非を認めることはできないから、人が変わらなければ理詰めの交渉に耐えられなかったのかもしれません。

(同類の別の件でも担当者は良く代わりました) 

やっとのことで瑕疵を認めたのですが、その後も大変なバトル続きでした。

先方から出てくる補修案をことごとく拒否です。理由は効果のない、費用のかからない補修案ばかりです。おそらく補修費は工事を請負ったゼネコンが負担するのだろうだから、ゼネコンとしても赤伝を取締役会にかけなければいけないのだろうと想像できました。 

紆余曲折に3年ほど時間を費やし、法廷闘争の一歩手前まで行ったのですが、最後一千万円近い金額で交渉成立。

ゼネコンを含め不動産会社側の最後の言葉。捨てぜりふ?「2度と言ってくるな」

一担当者であっても、これが名のある一流企業の言葉かと言うのが現実です。 

救いは、管理組合役員の意思が固くくじけなかったことです。

(途中幾度となくこの点は注意しながら)(相手の分断作戦がよくあるため)

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