収益計画
企業には年度毎の売上と収益の目標があります。
マンションにおいては長期修繕計画を作成し、将来想定している大規模修繕工事のために引き当てる資金として積立金をプールしています。
長期修繕計画で想定している大規模修繕工事の時期と、建物の劣化状態による修繕工事の時期とは必ずしも一致するとは限りません。
一部の管理会社は長期修繕計画の修繕年次をタテにとって、「そろそろ修繕工事の時期となりましたので具体的な準備に係るための調査を行います」などとして、自社関連の会社に受注誘導するような動きを取ります。
一概には言えないが、管理組合のための大規模修繕計画ではなく、管理会社の長期収益計画とみなされるような実態があります。
「屋上防水の保証が10年、保証期間が過ぎましたので、屋上防水の改修工事が必要です」、これとて建物の劣化は人の体と同じく、年数を重ねたからどの建物でも劣化レベルが一律に進行することはありません。築年数を重ねると個別の劣化程度の差異は大きくなってゆきます。
実際には部分的な補修で事足りものを、全面改修することを進めている場合もあります。これではいくら積立金があっても追いつきません。正しい現場の判断を経ずに修繕を繰り返すのであれば、工事会社のための短期収益計画でしかありません。
建物の修繕が必要か否か、また部分的な修繕を行うのであればどのような手法が可能なのかを含め、第三者的で管理組合の立場がとれる建築の専門家の意見を求めることをお勧めします。