工事現場は危険だから一般の人は立ち入れません。本当にそうなのか?
施工業者の現場責任者の人は工事関係者以外の人が工事現場に立ち入ることを避ける傾向があるような気がします。でも現在の安全管理はかなりの水準にあり、建設現場とて工場の中と同じレベルの安全対策を求められているのです。
私たちの考えは、発注の立場にある人が自分の所有管理している(所有管理する)建物の細部まで工事の出来具合等に対し納得をすることは重要だとしています。つまり工事現場は建設関係の特殊な空間だといった感覚は適切ではないとしているのです。
マンションの大規模修繕工事の際には、適切なタイミングで管理組合の方と一緒に足場に上がり工事の状況を確認していただきます。そしてポイントポイントでなぜこのような劣化が生じたのか、その処置をどのような考えで行っているのかを説明しています。多くの方は自分の所有している(管理している)建物の通常では見ることができない部分を確認できます。このことは建物に対する愛着も増してくる効果も期待できるのです。
当然保険に加入していただくことをお勧めしています。期間と人数限定の保険で負担も少額です。
(写真はリッチde鳴門Ⅲの現場です)
今年一月から工事が始まっているプレジデント後楽園の大規模修繕工事が本格的に進んでいます。工事場所は中区役所の道を挟んで南側です。
戸数92戸のマンションで、築40年が経過する岡山で2番目くらいの古いマンションです。
これまでに幾度となく大規模な修繕工事が行われてきているが、今回の工事は防水工事と外壁の塗装工事が主となるが、「今回はきっちりとした工事で将来的にも安心できる工事にしたい」というのが管理組合の共通した考えです。
その他の工事としては、バルコニーと階段の床に塩ビシートを貼る。剥き出しの屋外階段の上に雨除けの屋根を取り付ける。
工事の内容はすべて雨水対策が主です。建物の劣化を促進させる要因である雨水からの防御対策が一番だからです。そのためには確実に所期の目的のために多少美観的な部分は我慢していただく場面も生じます。当然このような点は事前に管理組合の方とも共通の認識が必要となります。
特徴的なのは建物形状が入り組んでいるため、屋上防水の納まりが困難な部分があるのでメーカーの方と現場の責任者、そして監理者の3社が工事前に事前協議をして工事の要領を決めています。
メーカーの方がただ製品を納入するだけでなく、工事の要領と仕様に関わってもらえるのは大変ありがたいことです。
工事現場は岡山市の中心から車で10分程度の場所です。工事は着手してからおよそ一か月経過したところです。工程は順調に進行し6月末までに完了させる予定となっています。
大規模修繕工事は第一回目です。工事の内容は屋上防水の保護塗装だけで、外壁の塗装工事とタイルの浮き・割れの補修工事です。
バルコニーと廊下の床塩ビシートでの防水工事(塩ビシートは今回施工)
エントランスの飾り梁と柱はカビ対策、そして屋上の銘板はクリーニングなどの意味でバイオの技術を活用します。
足場の落下防止ネットは白のカヤシートの新品です。居室が明るく清潔だから居住者のストレスがありません。当社の現場は足場材は枠組み足場で組み立て時の騒音緩和と堅牢さで決めています。落下防止ネットは清潔で明るいカヤシートの新品が標準仕様です。
何せ狭い敷地で工事施工者は、居住者の安全はもとより来訪者に対しても近隣の民家に対しても気を遣う工事です。
カビは人類誕生以前からこの地球上に生息していた。
建物の改修設計を行っている関係で、外壁に限らずあらゆる部分に多くのカビが発生していることに出くわします。目につくカビは既に無数の固体が繁殖していて、一般的には汚れとして認識しています。本来はカビの処理を行った後に塗装をする。建物の酸性化はカビの増殖に大きく影響するため、可能であればカビ処理を行ったうえで塗装を施工するといった考え方が本来の姿であろう。
じゃあ大きな外壁面のカビ処理をどのようにするか。私は外壁タイルの洗浄にバイオ技術(微生物技術)を活用しています。有用微生物と天然植物由来の洗浄剤とを活用した技術です。お分かりだと思いますが、改修の際の外壁洗浄には多くの制約があります。人が生活している。植栽が茂っている。廃液を出せない。生活者も作業員にも健康障害が絶対にあってはなりません。このように数々のハードルを越える技術でなければならないのです。
またカビはその胞子の飛散によってアレルギーや肺に健康障害を生じさせます。ひどくなると入院治療を余儀なくされるケースだってあります。
高温多湿の日本の気候は世界有数のカビ大国だそうです。その原因の一つが住宅の気密化があげられます。やはり気密が十分だったら空気の入れ替えが自由に行える換気も考えなければなりません。
それからカビの特性として、あらゆる方法(DNA組み換え)で子孫を残そうとします。初期に繁殖したカビとカビ除去処理を行った後のカビの種類が変わってしまうことも多々ある。
安易なカビ処理は危険かもしれないので、本当の知識と技術を持った専門家の活用が大切だと思います。
黄色く変色したところがカビ処理で反応した部分です。
2月23日(日)午後1時半から5時までマンション勉強会で広島に行ってきました。
今回の勉強会は、前半に国土交通省の山根様がマンション管理適正化について行政としての役割と、適正化の意義ならびに区分所有者が管理組合員としての権利と義務などについて分りやすくお話されました。
後半は私が大規模修繕の流れや現場での実例などを交えながら、管理組合が主体となって進めるために必要な事項をお話しさせて頂きました。
勉強会では60名以上の管理組合の方が熱心に耳を傾け、そしてアンケートでも多くの方より「役に立った」「再認識した」「相談したい」などご意見を頂き、次回への励みともなりました。
広島では10月26日(日)に次回開催の予定です。
消費税の関係で昨年9月末に契約した大規模修繕工事が始まり1ヶ月が経ちました。
建築資材が足りない、人手が不足している。これらの状況の中で当初の予定より遅れ気味であるが、5月末の完成を目指して工事のピッチが上がりかけています。
足場が架けられだすと、居住者の皆さんの関心も一段と上がり、「綺麗になるから楽しみです」と言った声も聞かれだした。でも綺麗にするのが主目的ではなく、もちろん綺麗も大切な事なのですが、「やはり長年月で傷んできた部分の手当てを十分しなければ、10数年先に行われる次回の大規模修繕工事の際に余分な費用が必要となることを考えて、今回が大切です」といったお話しをさせて頂きました。
「10数年先の工事の時もお願いしたいです」とありがたいお言葉も頂戴したのですが、「私も相応の歳だから次はもう無理でしょう」と言ったら、「後を引き続いてやっていただける人を育てて下さい」と言われました。
季節はまだまだ厳しい寒さが続いていますが、居住者の方から頂くこのような暖かい励ましの一言が何よりでした。
企業経営にとって経費の削減も永遠の課題のひとつでしょう。
その中には、建物を建ててからかかる維持保全コストもあります。この部分の経費について明確に把握している企業まだまだ少数派である。
- 建物保全費(法令点検、定期点検保守、運転、日常点検、清掃、保安、経常的修繕、植栽管理)
- 建物修繕・改善費(臨時的修繕、改善、模様替え)
- 建物運用費(光熱水費:電気・ガス・水道代、受付)
- 一般管理費(運用計画、テナント打合せ、費用徴収事務、公租公課、保険料、その他)
建物を建てた後にはこれだけの費目があるが、これらの費用の最適化が困難な理由は専門的な知識がなければ出来ないことにあります。
建物が長期間にわたって使われる間にかかるこれらの費用は、建設時の設計費ならびに建設費の3~4倍だとも言われています。
いかに建設後の累積費用が大きいか、そしてこの膨大にかかる費用の最適化が難しいかが分ります。
特に一時的に多くの費用を要する修繕については、計画的に修繕するための計画を作ることによって、必要以上の費用や行き当たりばったりの対応をなくすることが、結果的にコストの削減に繋がります。
しかしこの事を修繕引当金などの名目で準備している企業は少ないのが現状です。
私たちは建物修繕・改善費に併せ、保全費や運用費の最適化の支援も行っていますが、このような支援サービス業務をどのようにして企業に伝えるかが今の課題である。
設計事務所には塗料・防水材・金物・シーリング材・サッシ・などなど多くのメーカーの営業マンや技術の方がこられます。
現場監理や建材のPRなど来訪の目的は様々ですが、雑談の中でボヤキ話しも時々されるときがあります。そのボヤキの中で、現場施工の不具合の話しが出てきます。
工事中あるいは工事完成後何らかの問題が生ずると、施工会社から「何とかならんのか?」だそうです。何故その様な問題が起きるかといえば、メーカーとしての材料の取り扱いから施工条件(天候・気温・湿度・施工手順など)の仕様を守らなかったから、結果として問題がでて来るのです。
メーカーの立場は、自社の製品を買って頂く大切な施工会社だから、必死になって「何とかならんのか?」に応えようとします。しかし大半が後の祭りであり、結局泣きを見るのは元請施工業者に発注したクライアントになるのです。
なぜこのようなことが起きるのかを考えてみると、元請代金との兼ね合いで下請け施工会社へのしわ寄せ・工期が短く突貫工事となっている・施工会社の職人さんが安易な方へ流される・その他。
施工会社の中には、元請施工業者から無理難題を押し付けられると、今日この頃は少ないがお断りする人もいます。このような職人さんだったら長くお付き合いしたいなと思います。
雑談の中でこのような事態を避けるために、私たちはメーカーの人と一緒になって工事着手する前に、諸々の注意点を施工会社に指示する方法を取っています。しかも書面による根拠に基づきます。
一日中あいにくの雨空でした。会場はJR徳島駅前のシビックセンターです。この建物は図書館など公共施設と百貨店「そごう」との複合施設で大変立派な施設でした。
会場にはプロジェクターとスクリーン、そしてマイクも準備されていて、幸いにも部屋の開錠が12時半くらいだったので勉強会開始まで1時間ほどの余裕がありました。
いつもの通り午後1時頃から参加者が集まりだして、10分くらい前から集中的に来場されます。毎度の勉強会では定刻になると参加者数に係わらず所定の時間通り開始し、途中休憩を挟み5時には会場から出るようにしている。
この勉強会は通常のセミナーと異なり、私の話の途中でも質問を受けるようにしている。時にはある質問に対し、他の参加者が答えるといったことも多々あります。内容によっては複数の方の発言で盛り上がる事もあり、活発な意見交換がその場を活き活きとさせる事となります。ただ質問が長くなりすぎるとイライラがつのってくることも。
このような勉強会には初めての方が多く、最初はどんな話か(値踏み)聞いたろ。そのうち段々前のめりになりだし、終わりの頃は真剣にメモを採る。このように姿勢が変化する人はひと歳いった男性に多いように思えます。
今回の参加者は16名であり、「もう少し早く知っていれば(私のことを)」といった反応が多くありました。
昔、建診協の理事長が言った言葉を実感しています。「勉強会は社会を良くする活動だ」と。
明日から連続土日でマンション勉強会があります。
明日(土)午後は岡山県・岡山市・倉敷市(3団体)主催の第10回岡山マンション基礎セミナーです。会場は岡山市の西側アイプラザで、参加者は140名くらいだそうです。
このセミナーには私たちが所属する建診協中国・四国支部も協力団体としてお手伝いをさせていただいています。具体的なご協力としては、過去の建診協マンション勉強会にご参加頂いた400名以上の方々へのご案内と、今回は第10回目の節目と言う事で建診協本部の山口実理事長が「大規模修繕の進め方と基礎知識」と題しての講演です。
今回はセミナー後の相談に来られる人が多くて対応が仕切れないかも心配です。
明後日(日)午後は建診協中国・四国支部主催の(支部通算第34回)、誰も教えてくれないマンション管理運営と大規模修繕」です。会場は徳島市のシビックセンターです。
その後は11月17日(日)午後松山市、12月22日(日)午後岡山市、さらには来年2月23日(日)午後広島市と続きます。
昨日は広島の国交省中国地方整備局に行ってきました。
目的は来年2月の広島市で予定している勉強会に対する講師の依頼と後援名義の件でした。一昨年岡山市でのセミナーに講師として来て頂いた事もあり何とか支援を頂ければと期待しています。
支部主催のマンション勉強会も平成20年から始めて多くの方に出会うことができました。勉強会の講師としてまだまだ頑張るつもりなので管理組合の皆様どうぞよろしくお願いいたします。