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プレジデント2008年3月号に掲載された、経営コンサルタントの矢内世夫氏の記事を紹介します。
記事の内容は「管理の差で、生涯1000万円の差が出る!」というもので、記事の一部を紹介します。
私は過去30年の間に七つのマンションを購入し、そのすべてで管理組合の理事や理事長を経験した。それらの経験から「マンションの資産価値を守るのは管理会社ではない。あくまでも所有者本人たちの自己責任である」といえる。
ところが実際には、すべてを管理会社任せにしてしまうケースが大半だ。マンション購入には熱心なのに、購入後の管理については「無関心」かつ「勉強不足」の組合員が多すぎる。これでは管理会社の思うツボで、数年後に管理費の値上げや、15~20年先には大規模修繕資金が不足して50万~100万円を臨時徴収される可能性さえあるのだ。
一方で、自分たちが勉強し、知恵をつけたことで、管理委託費を50%以上も下げることに成功したケースもある。例えば、管理費の内訳を精査し、他マンションの事例と比較したり、他の管理会社への見積もりを発注したりすることで、管理費は大幅に変わってくる。管理会社の言いなりではなく、理事会は「管理に見合うサービスが提供されているか」という問題意識を常に持ち、業務内容をチェックすべきだ。

維持管理は新築時より、建物の劣化が目立ち始める築15年以降になると段々に難しくなる。大規模修繕に必要な予算が不足し、工事がおざなりになって建物がスラム化に向かう恐れがあるからだ。さらに、組合員が高齢化して理事のなり手がいなくなる悪循環も増えている。

小生も矢内氏の記事に同感で、ある勉強会の会場で「うちのマンションは管理会社変更で年間60万円下がった」と言われた方がいました。60万円だったら10年間で600万円となります。あながち1000万円の差が出るといった話は絵空事ではないのです。大規模修繕工事の予算が600万円増える事は、劣化予防的な工事も十分可能となるのです。
さらに別の方からの発言で、管理会社から「管理会社は変えられない」と言われているが・・・。
そうすると別の方が「うちのマンションは3回も変更した」「変更ができないなどウソだ」と言われると、最初の方の反応は「えー、できるの!?」でした。やはり知識を取り入れる努力は損得に反映されることも実感させられた勉強会でした。

商取引の原則

お付き合いと取引を混同していませんか?
一般の企業だったら契約を適正に履行していなかったら、改善の要求、さらには即取引停止となるのが常識です。
ところがマンションの管理委託契約の場合、「管理人さんがいい人だから」といったこと具合で、委託契約の履行がきちんとなされていなくとも改善要求が出されていない場合が多くあります。契約事項の履行要求を厳しく行なわないマンションは、管理会社主導の運営がなされるようになります。管理会社に理事会を委ねてしまう事は、そのマンション全体の命運をゆだねる結果となり、行き着く末は大事なお金を浪費してしまう事が目に見えています。このようなことを一般の会社で行えば、相伴会社は倒産となるでしょう。

よく管理組合の方が、管理会社の良くない部分の不満を言われますが、管理会社をいくら変更しても、管理組合の自立がなされていなければ事態は改善されないと思います。やはり見識と筋の通ったリーダーシップを発揮される理事長さんの下では管理会社との間でも緊張関係を保ち、フロントマンのアドバイスに対しても響いてもらえる理事会であれば管理会社のフロントマンも生きがいを感じると思います。
逆の見方をすれば、何を言っても響かない管理組合に対しては、「やる気が出ない」と言われても仕方が無いのです。

電子ブレーカー、AED設置、消火器、水道メーター、排気ダクトの洗浄、防犯カメラ。
これらの事は、管理会社から管理組合に提案された案件です。これらの設備がはたして管理組合の安全性や利便性にどのくらい寄与しているのか。もしくは効果のあるものなのか。一番疑問に思うことは、提案の本質が十分理解されているかが問われていると思います。

以前建診協のセミナーで、マンション管理センターの講師の方が講演の中で言われました。「契約に無い事を管理業者が言い出したら気をつけてください。」
例えば電子ブレーカーの件を考えてみると、電子ブレーカー=電気料金が下がるのではないのです。電力会社との低圧負荷契約から、開閉器契約に変更し、受電容量を少なくするから基本料金が安くなるのです。何も電子ブレーカーでなくても通常のブレーカーでも構わないのです。電子ブレーカーとするのは、ブレーカーの費用が高額設定なので、レンタル契約・リース契約を勧めるのです。実際に電子ブレーカーの費用は30万円程度から50万円を越える設定がみられ大きな価格の開きがあるようです。
あるマンションでは、レンタル契約だったために、撤去費用を管理会社にしつこく問いただしたら、買取となったと聞いています。レンタル契約は管理組合の建物に管理会社の所有物が設置されている事であり、管理組合が自由に撤去できない契約なのです。当然勝手に処分するといくらの請求が発生するのかも不明です。

もう一度、マンション管理センターの講師の方が言われた「契約に無い事を管理業者が言い出したら気をつけてください。」を思い起こして欲しいと思います。

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