マンションの給排水管の劣化に伴う改修方法には二通りが考えられる。
ひとつは取替え、いわゆる更新であり、もう一つは延命:管の内面の樹脂コーティング(ライニング)である。
更新工事は読んで字のごとく既存の給排水管を取換えて新しくする工法です。
管の内面のライニング工法は、既存の給排水管の内面に特殊樹脂を吹き付けるものです。
この二つの工法には一長一短があり、更新工法は高額で工事中も使用制限などが長期間にわたる。一方ライニング工法は簡単そうだからこちらが良い。しかしこんな簡単な話ではなく、慎重に両者の特色を比較しながら検討する必要がある。
それでは大まかに両工法を考えてみます。
更新工法の最大の特徴は、長年月にわたり漏水などの不安が解消されることに尽きる。さて費用面ではどうか。これは取り替える給排水管の周辺環境により大きく変わる。
例えば、コンクリートもしくはコンクリートブロックなどで囲われている場合は、それらの一時撤去・復旧の付帯工事が道連れ工事として発生する場合が殆んど。したがって本来の配管工事より、建築付帯工事の方に費用がかかる場合もある。
したがって工事が特定一種の工事だけではなく、しかも専有部に立ち入る必要が生じて、居住者の負担もかかる。
ライニング工法の方はどうかと言えば、比較的安価かと言えばそうでもなく、現場の状況によっては、更新工法とさほどの差がない場合もある。
よく「ライニング工法の会社をどのようにして探せばいいのか教えて欲しい」といったご相談があるが、基準として10年以上の保証があるか、審査機関に登録している会社かなどがあげられる。
この類の工法は各社特有の内容であるため、財団法人建築保全センターの「保全技術審査証明」で確認することをお勧めします。
そもそも給排水管の問題が明らかとなるきっかけは漏水であり、漏水はなぜ起きるのかを考えると、様々な要因が挙げられるが、特殊なことを除き直接的な要因としては管の内面の錆びである。給排水管の改修を考えるうえでまず錆びる材料か錆びない材料かを考える必要がある。
更新工事を考えても取替えができない。例えばコンクリート内に埋もれていて取替えは現実的ではない。取替えに伴う建築工事が大掛かりとなる。
大規模修繕工事に伴う建物調査の場合、建築だけではなく給排水設備の配管材がどのようなもので構成されているかも調査段階では重要となる。これは長期修繕計画の作成にも直結する情報となる。
以前給水管のライニング工法を実施しているマンションの配管を抜き取ってみたことがある。材質は内面塩ビ被覆鋼管に樹脂コーティングを行っているものであった。
内面ライニング被覆鋼管の弱点は継ぎ手部分にあり、管端防蝕継ぎ手を使用していても、樹脂コーティングの効果は継ぎ手部分には乏しく錆も発生していた。
塩ビ被覆管は錆びないが継ぎ手部分に弱点がありライニング工法も万能ではない。
全材質が樹脂管を使用している給排水管においてライニング工法は不要であり、鋼管系でライニング工法が必要となれば、審査機関に登録している複数の会社から見積と合わせてヒアリングをすることをお勧めします。
通販の一大企業へと成長したジャパネットたかたは製品の売り方に工夫
当然と言えば当然、購買客は製品の機能で購買意欲を掻き立てられるのではなく製品を使用した時の満足感であり、顧客の満足にフォーカスして売り上げを伸ばしてきたのである。
フジフィルムも同様に「写ルンです」は即席カメラが満足できる機能に即効性で応えた製品で一世を風靡した。
このように社会現象となる事象には、共通して製品の持つ機能だけではなく、その製品を使うことによる感動による満足感を提供しているのである。
消費者は製品に強い関心を持てば、その機能と価格を吟味し、紹介されている細かな文字は目を皿にして読み、購入後は多少高額であっても満足度が上回れば価格は一時的な痛みとして時間の経過とともに記憶が薄れるものである。
では、マンションの管理費に目を向けてみよう。
一例としては排水管洗浄が定期的になされていると思うが、排水管洗浄に限らず洗浄自体に価値を認めるのか、あるいは洗浄によって異物が除去される効果に価値を認めるのか。
多くの方は洗浄を行った後の効果検証は考えていないと思う。
排水管洗浄はビル管理法により、施工業者は各都道府県に登録するようになっていてインターネットで簡単に検索できる。
登録の要件の一つとして、内視鏡を保有していることが条件となっている。
だとすれば排水管洗浄は機械的に一定期間が過ぎたから行うではなく、やる必要があるか否かが前提となるはずです。
また実施後の検証を内視鏡を使って確認することもできるはずだが、必要性の有無・実施の計画・実施後の効果検証といった一連の判断基準を明確にしている例は皆無と言ってよい状況である。
もう一つの例として、建物調査の際、避難ハッチの作動確認を行ったところ、ハッチの蓋を開け避難はしごを解除したのはいいのだが、復旧ハンドルがない。これは困った事態。
ところが当該お宅の住人の方が工具を貸しながら「点検時もうちから工具を貸している」とのことでありびっくりしたことがあった。
これでは管理会社(実際行うのは点検業者)としてきちんと仕事をしているのか疑問が生ずるのは当然である。
この例も効果にお金を払うのではなく、やったことに金を払うことになってしまう。
単に顧客は製品や行為にお金を払うのではなく、使った感動・やった効果にお金を払うのであり、やったことにお金を払うのはそれでよいのか。このような疑問を持つのは当然としなければならなく、「効果にお金を払うんだ」といった認識をお持ちいただくことが管理費のムダを省く第一歩でしょう。
コスト削減と言えば「電気を消せ」が思い浮かぶ。これは運用の見直しです。
はたして「電気を消せ」だけで削減効果がどれほどあるのか、またモチベーションからいつまで継続できるのか。
コスト削減には順序がある。
1. 調達改善:買う方法を考える
2. 設備改善:省エネ設備を取り付ける
3. 運用改善:使い方を工夫する
「電気を消せ」は3番目であり、長く継続するには常に削減意識が必要で時間が経てばいつの間にか元に戻ってしまう。
私たちがお勧めするのは、1番目の調達改善です。
建物は建てた後にかかる費用、いわゆるランニングコストです。
このランニングコストはなかなか実感しにくく、隠れて見えにくいコストと言われています。
この隠れて見えにくいコストは建物の生涯コスト(建物を建ててから解体するまでのコスト)の中でどれくらいの比率かと言えば、82.5%に達すると言われています。
この部分に切り込んでコストの削減にとり組むことが必要となる。
新築時の建設コストや解体費を除くランニングコストを大別すれば、修繕費・設備機器等の保守点検費・電気ガス水道などのエネルギー費・租税公課を含む管理などとなる。
コスト削減を考えるうえでまず、一番リスクのない調達改善を考えるべきであり、いわゆる“上手な買い方”をするである。
設備改善は初期費用が必要であり、一旦取り付けた設備に効果が乏しければ設置のムダのリスクも考えられる。
3番目の運用改善は継続努力が必要となる。
このように考えるとリスクのない調達改善から取り組むべきである。
この調達改善は企業活動において、操業形態の変化・自由化・過大な契約など、当初契約時の状態が時代とともに実情とのズレが生じたとしてもそのままとなっていることを是正する。
あるいは気づかなかった運用を見直すことで効率化にも気づく効果もある。
ただし注意点もある。
コスト削減は運用努力による倹約一辺倒で製品などの品質悪化に影響があっては、これは本末転倒と言わざるを得ない。
企業活動は通常通りで賢く無理なく調達の方法を考えるべきで、隠れて見えにくいランニングコストを“見える化”することで、どの部分でどのように取り組むべきかが明快となる。
調達の見直しは一旦実施すればすべて解決かと言えばそうではなく、効果を継続的に維持するためには定期的に点検すべきでしょう。
調達改善はリスクがなくて効果が大きい。
まず設備改善や運用改善に取り組むのではなく、調達改善を継続してゆき、より一層の効果を求める必要があると判断した場合に設備改善や運用改善に進むべきである。
隠れて見えにくいランニングコストの削減は、建築のライフサイクルコストに専門的知識を持った専門家の力も必要となる。
調達改善は利益確保と直結していて、しかも長期間にわたり削減効果は続く。
米軍は1月3日、南米ヴェネズエラの首都カラカスを同日未明に攻撃し、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束して米ニューヨークへ移送した。
その後、イランに対してもイスラエルと共に2月28日、大規模な戦闘作戦を実施した。
この戦争でイランの最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害され、戦闘は続きホルムズ海峡の封鎖が今なお続いている。
ホルムズ海峡の影響により中東に石油を依存している各国の経済活動ならびに日常生活に大きな支障が出始めている。
このような状況はいつまでには収束するといった見通しはなく、建設現場も資材の出荷制限ならびに価格の高騰といった事態になっている。
工事現場においては、防水・シーリング・塗装・養生材といったように、広範囲にわたる資材の調達が困難となり、仕上げ材の比率の大きい大規模修繕工事の計画にも支障が生じている。
契約を済ませ足場を架設した時点で、材料不足で工事がままならなく中断ということになれば、工期の延期に至る可能性もある。
工事中断・工期延長ともなれば、施工者側の経費が嵩み、その費用をだれが負担するのかといったリスクが生ずる。
原因者負担の原則からすれば、請負施工業者?いや発注者にも?
この点を事前に明確とすることは難しく、特約条項に反映させることもできない。
このような事態を考えれば、施工会社に見積依頼しても、リスクを抱えたままでの回答はし難く慎重にならざるを得ないのが実状となっている。
ではどうすればよいのか?
具体的で明快な方策は思いつかず、自分たちで出来ることは進め、事態の状況変化を見届けながらその時々で判断するしかない。
港湾復旧・機雷除去にも6カ月以上かかると報道されているが、何はともあれ早期の収束を望むばかりである。
マンションに住まうことは、区分所有者の義務として共用部分の清掃・設備点検・管理員人件費・共用部の光熱水費など、日常の維持管理に要する毎月の負担が必要となる。
一方修繕積立金は、定期的に行われる大規模修繕工事など、建物や設備の修繕費用に備えるために毎月負担するものです。
バブル崩壊後30年ほど続いたデフレからインフレへと経済環境が変わり、新型コロナ以降の5年間で建設費は1.3~1.4倍に急騰した。
新型コロナ以前は1.3~1.4倍に上昇するには、概ね15年ほどの年数がかかったことを考えるといかに急激な上昇であるかが分かる。
またここにきて中東情勢の悪化により、生活物資を含め建設資材の調達困難や価格上昇といった、私たちにとってもつらい状況となっている。
このような状況のなか修繕積立金は入居時から見直しを行わず、あるいは見直したとしても建設コストの方が積立額の上昇率を上まわり、いざ大規模修繕工事となっても、計画している修繕項目すべてを賄うには資金が不足する。
このように財政的なひっ迫が顕在化しているマンションが増加していることが憂慮される。
修繕積立金不足については、早急な対応策を講じないまま放置してゆけば行くほど、必要な時に資金不足のギャップが大きくなり、そうなった時の対応策としては、一時金の徴収・借入金を検討する・先延ばしする、あるいは屋上防水・鉄部塗装、そして足場を要しない廊下や階段の床など、部位を分けて工事といったように選択の幅が狭くなり、組合員の同意を得ることも困難となりがちである。
ただし部位を分けて工事をする場合は、どうしても経費的に割高となりがちであり、また先延ばしするにしてもその時々のコストの上昇と資金との兼ね合いもあり、コストと積立額との関係を考慮しながら判断する必要もある。
今一度長期修繕計画ならびに現況の修繕積立額がどうなのかを考えて頂きたい。
修繕積立金の値上げを検討することも必要であるが、一方管理費の無駄はないのかも考える必要がある。
多くのマンションの場合は、日常の維持管理に要する業務、いわゆる通常の管理業務を一括で管理会社に委託していることが通常だと思うが、管理会社は事務管理を除き専門業者に再委託することが一般化している。
いわばその先はブラックボックス状態といったところです。
このブラックボックス化している部分の透明化を考える必要があり、私たちの経験上管理組合から相見積もりの相談を受けることもあり、管理会社とは別ルートで業者から見積を取ったところ、管理会社提示の見積額より数十万円~数百万円安くなるケースもある。
このように考えると、管理会社に一括委託でも構わないが、管理組合が独自に別ルートで相見積もりを取ることをお勧めします。
財政危機が深刻になることを考えると、無駄な支出を抑える。発注に際し品質を落とさず低コストで発注する。
見積依頼先を探す場合このような方法をとることをお勧めします。
情報の入手先としては、インターネットなどもあるでしょうが、同業者の組合組織がある場合が多く、該当業種先の組合から状況に合った業者の紹介を得る方法もある。
私たちも遠隔地であれば業界の組合のお世話になることがあります。
将来の財政危機を回避するには、管理組合が無条件で管理会社にすべてを委託するのではなく、その先の再委託先のことも考えるべき時でしょう。
一括委託からブラックボックス部分を、管理組合が管理会社を含め直接取引とする分散管理も視野に入れるべきでしょうが、一気に分散管理となれば、管理組合と委託先業者との契約ならびに契約後の品質管理には、専門的な知識を持った第三者の介在が必要となる。
そこで中間的な方法としては、専門家の力を得ながら一つずつ時間を掛けて、直接取引の道筋をつけてゆくのがスムースに進める秘訣かなと思われる。
管理費に着目することは、ある面では過剰な管理サービスがないかも再チェックできる機会ともなる。
再委託先の保守点検費に着目することと合わせて管理費のスリム化でコストダウンをはかることで、将来の物価上昇のこともあるが、仮に管理組合の支出が1ヶ月10万円減るとすれば、削減額が1年間で120万円、10年で1,200・20年で2,400万円となり、浮いた余剰金は修繕積立金に繰り入れて積立額を充実させることをお勧めします。
いずれにせよ、将来的にはマンションを取り巻く経済環境はより厳しくなることが想定できる限り、将来を考える上では、財政(お金)の管理は避けて通ることは出来ず、すべてを管理会社に無条件で丸投げする姿勢は危険と言わざるを得ない。
