マンションに住まうことは、区分所有者の義務として共用部分の清掃・設備点検・管理員人件費・共用部の光熱水費など、日常の維持管理に要する毎月の負担が必要となる。
一方修繕積立金は、定期的に行われる大規模修繕工事など、建物や設備の修繕費用に備えるために毎月負担するものです。
バブル崩壊後30年ほど続いたデフレからインフレへと経済環境が変わり、新型コロナ以降の5年間で建設費は1.3~1.4倍に急騰した。
新型コロナ以前は1.3~1.4倍に上昇するには、概ね15年ほどの年数がかかったことを考えるといかに急激な上昇であるかが分かる。
またここにきて中東情勢の悪化により、生活物資を含め建設資材の調達困難や価格上昇といった、私たちにとってもつらい状況となっている。
このような状況のなか修繕積立金は入居時から見直しを行わず、あるいは見直したとしても建設コストの方が積立額の上昇率を上まわり、いざ大規模修繕工事となっても、計画している修繕項目すべてを賄うには資金が不足する。
このように財政的なひっ迫が顕在化しているマンションが増加していることが憂慮される。
修繕積立金不足については、早急な対応策を講じないまま放置してゆけば行くほど、必要な時に資金不足のギャップが大きくなり、そうなった時の対応策としては、一時金の徴収・借入金を検討する・先延ばしする、あるいは屋上防水・鉄部塗装、そして足場を要しない廊下や階段の床など、部位を分けて工事といったように選択の幅が狭くなり、組合員の同意を得ることも困難となりがちである。
ただし部位を分けて工事をする場合は、どうしても経費的に割高となりがちであり、また先延ばしするにしてもその時々のコストの上昇と資金との兼ね合いもあり、コストと積立額との関係を考慮しながら判断する必要もある。
今一度長期修繕計画ならびに現況の修繕積立額がどうなのかを考えて頂きたい。
修繕積立金の値上げを検討することも必要であるが、一方管理費の無駄はないのかも考える必要がある。
多くのマンションの場合は、日常の維持管理に要する業務、いわゆる通常の管理業務を一括で管理会社に委託していることが通常だと思うが、管理会社は事務管理を除き専門業者に再委託することが一般化している。
いわばその先はブラックボックス状態といったところです。
このブラックボックス化している部分の透明化を考える必要があり、私たちの経験上管理組合から相見積もりの相談を受けることもあり、管理会社とは別ルートで業者から見積を取ったところ、管理会社提示の見積額より数十万円~数百万円安くなるケースもある。
このように考えると、管理会社に一括委託でも構わないが、管理組合が独自に別ルートで相見積もりを取ることをお勧めします。
財政危機が深刻になることを考えると、無駄な支出を抑える。発注に際し品質を落とさず低コストで発注する。
見積依頼先を探す場合このような方法をとることをお勧めします。
情報の入手先としては、インターネットなどもあるでしょうが、同業者の組合組織がある場合が多く、該当業種先の組合から状況に合った業者の紹介を得る方法もある。
私たちも遠隔地であれば業界の組合のお世話になることがあります。
将来の財政危機を回避するには、管理組合が無条件で管理会社にすべてを委託するのではなく、その先の再委託先のことも考えるべき時でしょう。
一括委託からブラックボックス部分を、管理組合が管理会社を含め直接取引とする分散管理も視野に入れるべきでしょうが、一気に分散管理となれば、管理組合と委託先業者との契約ならびに契約後の品質管理には、専門的な知識を持った第三者の介在が必要となる。
そこで中間的な方法としては、専門家の力を得ながら一つずつ時間を掛けて、直接取引の道筋をつけてゆくのがスムースに進める秘訣かなと思われる。
管理費に着目することは、ある面では過剰な管理サービスがないかも再チェックできる機会ともなる。
再委託先の保守点検費に着目することと合わせて管理費のスリム化でコストダウンをはかることで、将来の物価上昇のこともあるが、仮に管理組合の支出が1ヶ月10万円減るとすれば、削減額が1年間で120万円、10年で1,200・20年で2,400万円となり、浮いた余剰金は修繕積立金に繰り入れて積立額を充実させることをお勧めします。
いずれにせよ、将来的にはマンションを取り巻く経済環境はより厳しくなることが想定できる限り、将来を考える上では、財政(お金)の管理は避けて通ることは出来ず、すべてを管理会社に無条件で丸投げする姿勢は危険と言わざるを得ない。
