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お客様の声

何かを相談しなければいけないときに誰が信用できるのか迷う時がある。

私たちもマンション管理組合様より選ばれる立場なので、おそらく管理組合の役員の方々も、どのようなコンサル会社が良いのだろうか、そして能力が高くて信頼できる人は誰だろうか?

このように考えるのは当たり前だと思うが、一番の判断材料は「お客様の声」が的確な判断材料と思われる。いくらプレゼンの資料を読んでも、その中身が本当なのかは分からないといった疑問が残るのではないのでしょうか。

最近不適切コンサルタントのことが言われているが、プレゼン資料には必ず担当した実績物件がかかれているので、その実績先の窓口となった人に取り次いでもらうよう働きかけるのが「お客様の声」を聞かせて頂く手っ取り早い方法です。

コンサル会社が取次ぎ要請を断るようでは、この時点でバツ。信頼できないと判断しても構わないと言える。理由は簡単です。業務を依頼して満足感の残る評価だったら、実績先の窓口の方も喜んでお話しいただけるし、反対に評価できないと思われているのだったら、はなから他人様と面談などしたくないと感じるのは誰でもだと思いますが、如何でしょうか。

このひと手間を惜しむか否かで、その後の満足度(成功か失敗か)がわかれることが予測できる。

「お客様の声」について、あるコンサル会社に取り次ぎ要請をしたところ、「管理会社に取次依頼をしてください」とのことでした。これでは管理会社(ボス)の配下にいるコンサル会社(ポチ)であることを自ら表明したに他ならない。このようコンサル会社が真にマンションを良くしようとする熱意には疑問が大いに残る。でもこのような僅かなひと手間を省いて、目先の委託費が高い安いと言ってコンサル会社を選定している管理組合があることも事実です。

とにかくマンションを良くしようとして、愛情をもって業務に向かうコンサル会社ならびに熱意ある担当者を選定することは、総合的な視点で見ると無駄な出費を抑えるメリットがあるような気がします。

改修業者から出される大規模修繕の工事見積額には、とんでもない金額の差があるのは事実なのだからです。見積書の中身を正しく分析して、最適な工事業者を選定するためにはコンサル会社の担当スタッフにその能力を発揮させれば、業務費の高い安いなどは比ではないのです。兎に角目先のお金に惑わされないように。

「屋上防水について保証期間10年が過ぎるので補修工事を検討しましょう」とか、「漏水があるので改修工事をしましょう、あるいはシートが劣化しているので全面改修工事を検討しましょう」など、建物において屋上防水の劣化対応改修工事は避けられません。

屋上防水の材質は多種多様であり、簡単に整理すれば、アスファルトシート防水、加硫ゴムシート防水(自転車のチューブのよう)、塩ビシート防水(床などに貼られているものと同様のイメージ)、ウレタン防水、ポリマーセメント系塗膜防水材などがあります。(塗料は防水材ではありません)

防水材は適材適所で使用されるべきであるが、現場に行ってみると、間違った材料選択・やるべきことをやっていない工事などが見られます。

注意すべき点が別にあります。既存防水シートは不具合箇所(めくれ・膨れ・破断など)を直せることです。つまり全面改修工事の必要があるのか否かなのです。

アスファルトシートはトーチで加熱すればシート相互間は簡単に溶着します。加硫ゴムシートは重ね貼りが簡単にできます。塩ビシートはジョイント部ならびに重ね部の溶着が可能です。ウレタン防水も重ね塗りができます。ポリマーセメント系でもウレタン防水同様塗り重ねが可能です。つまり全面改修工事(カバー工法)は必要ないと考えて差支えないが、よほどひどい劣化の場合のみ全面改修(カバー工法)を検討すべきです。

なぜカバー工法を提案するのか?「全面改修でなければ売り上げがながらない」これが答えです。施工業者も材料メーカーも部分補修では売り上げが伸びない。

設計監理者の中にも、カバー工法を進める人がいます。マンションであれば管理組合の財政の事など真に考えていない人といえると思います。

以前に管理組合の方よりご相談があり、「管理会社が屋上防水のカバー工法による全面改修を進めてきているのだがどうだろうか」といった内容でした。ご返答は「全面改修の必要なし、不具合箇所の部分改修で充分」であり、その結果管理会社の提示額の3分の1の費用で終わった例があります。

修繕積立金が乏しい管理組合が殆どです。屋上防水も適切な保全を行なえば、30年以上何の問題も生じないと判断できます。よほどひどい工事を行っていない限り。

不適切コンサルタントの特徴と弱み

管理組合の味方を装った不適切コンサルタントが話題となっている昨今ですが、実体験をもとに、彼らの特徴と弱点を整理してみた。

 

(特徴)

  1. 一級建築士事務所の看板を掲げているが、不明朗な団体に所属している場合が多い。
  2. 他社より極端に業務見積額が安い。
  3. プレゼン資料は中身に乏しく、やたら関係がありそうな資料の貼付けコピーが多い。
  4. マンションにとって役に立たない提案資料が多く、現実味に乏しい。
  5. とにかくプレゼンの話術は長けている

プレン資料の中身の充実より話術。人を引き込む話術はすごい。

※プレゼンテーションの話術をトレーニングする会社があります。

 

(弱み)

  1. 見積額の細目を問われるのが困る。(打合せなど何回来るのか)
  2. 実績の中から近くの管理組合への取次を求められると困る。
  3. 窓口主要スタッフの身分と資格を確認されると困る。

実績先の管理組合への取次を拒めば、「虚偽の実績」「管理会社への気兼ね」「不都合なことがある」

取次を「管理会社や施工業者を通じて」といえば管理会社や施工業者のポチ、了解なく勝手には動けない。

※設計事務所に限らずサービスの評価は、『お客様の声が』が一番正確

 

スタッフの身分確認は、健康保険証で確認する。(所属会社が記載されている)

一級建築士などの証明は、建築士免許証の写しを提示してもらう。

 

 

(不適切コンサルタントを遠ざける)

管理組合の皆さんは、単にプレゼンを受けるだけではなく、(弱み)1~3を確認する手間を惜しまないことです。このひと手間で彼らが隠している不都合を明らかにし、本当に管理組合にとって役立つ味方選びで大きな損失を防止してください。

国土交通省は「標準管理委託契約書」と「標準管理規約」を示しています。また機能不全の管理組合対策のガイドラインの検討も継続中です。ガイドラインの骨子は管理の担い手の減少と無関心対策が主となるようですが、適正な支援体制を法的に整備した後に何らかの方策が示されるのだろうと思われるが現状は未だ定まっていません。

マンション全体が活力ある姿であるためには、最低限、管理規約と管理委託契約に対する知識は欠かせないと思います。

今回は管理委託について考えて見たいと思います。契約という概念は日本社会では深く根付いていないと考えさせられる事があります。言うまでもなく契約書は利益相反の当事者が、義務と責任について合意した事を明文化するものです。ところが多くのマンションの役員でもこの点について認識している人が少ないのが残念です。規約もそうですが、管理委託についても文書を読み返し理解していないと“管理会社依存症”から脱却できないのです。

私がこれまで出会った管理組合の中で、この点に目を向けているマンションは本当にしっかりしています。管理会社との関係はお付き合いではなく契約に定められた取引に他ならないのです。この点を理解できれば双方の関係にも緊張感があり、管理組合主体の運営が進みます。

 

では管理委託契約書の中身で少し気づいた点を。

先日のマンション勉強会の後、あるマンションの理事長様と面談する機会がありました。そこで彼は、「契約期日が来るので契約の中身を変える協議を管理業者と行おう思う」と言われました。委託内容のサービスについては一般的なメニューでしたが、その中で管理業務を一括で管理業者が請負うのですが、第三者への再委託の部分の開示を求める条項を付加されていました。管理業者が管理組合から業務を一括で請負っていても、下請け業者にどの部分を幾らで再委託しているのかは、多くの管理会社は開示していません。

公共工事などの場合は、下請け業者名簿と使用メーカーリストの提出は元請業者に義務付けています。更に下請け業者との再発注の契約書の提出も義務付けているのです。

理事長様がお作りになった契約書の原案に目を通した中で、契約解除の条項も任意解約についてしっかりと示されていたので、これもさすがだなと思いました。

また管理業者の営業活動について、マンションの管理室や集会室などを無償で使用できるといった条項が入っている場合もありますがこの点も明示がありませんでした。

 

良い管理会社の基準を考えると

  • 業務の中身に透明性があること。これは要求すれば第三者への再委託の中身も積極的に開示する。
  • 未収金対策(滞納者対策)に対するしっかりとしたマニュアルを持ち、管理組合の前面に立って解決する意思が明確で、管理規約等に明文化するようアドバイスを行なう。
  • 理事会・総会の支援を積極的に行ない、居住者の参加を促し、多くの管理組合員を出席させる。
  • 様々な課題を顕かにし、理事会で検討すべきか否かを整理し適切なアドバイスをする。
  • 日常の案件を整理し、優先順位を明確にして役員の意思決定を支援する。
  • マンションの財務状況を常に把握し分かりやすく理事会に報告する。
  • 修繕工事などの費用を効率的で無駄のない方法でアドバイスし強引な利益誘導を行わない。
  • 委託契約以外の売り込みを行わなく実務に励む。(「契約以外のことを言い出したら気をつけよ」これはマンション管理センターの方がセミナーで言ったことです)

結論はお客様である管理組合の利益が優先と考え、管理組合に寄り添える会社です。契約内容以外のことを言い出す。奨める。これには注意が必要かもしれない。

管理会社とは長く良いお付き合いを望んである管理組合が大半ですが、多くのマンションが管理会社を変えたいと考えている点は残念な事だと思います。管理組合にとって管理会社との関係は、適正な取引を通じて互いの信頼を築き、長期にわたり良きパートナーであるべきです。

昨日、建診協関西支部主催の立春名刺交換会に2名で参加してきました。早いもので8年目となります。北海道から九州まで各地からの参加数は45名でした。今年の会場は堺筋倶楽部です。

このような建診協が行う会場は歴史的価値を持った建造物が恒例です。やはり建物の価値を高めて長く使い続けられる建物にしてゆく活動をしている限り、会場選びには拘っています。建診協関西支部では2月早々に立春名刺交換会を毎年開催しているが、堺筋倶楽部で行うのは今年が初めてで、これまでは中之島公会堂で行うことが続いていました。

堺筋倶楽部は1931(昭和6)年に川崎貯蓄銀行大阪支店として建てられた近代建築で、当時多種多様な銀行群でその重厚な様式美を競い合ったが、1936年に親銀行の川崎第百銀行に合併されて消滅する。

2001(平成13)年にフレンチとイタリアンのレストランとしてコンバージョンされたのが堺筋倶楽部です。外観は竣工時のデザインを残していて、玄関周りとその上部に濃密な装飾が施されている。1階は元営業室の高い天井を生かしたイタリアン、2階と3階は役員室や電話交換室、金庫室、個室の並ぶフレンチとなっていて、施設全体を使ったウエディングにも対応している。

当時の設計は矢部又吉と言われている。1934年竣工の旧川崎貯蓄銀行福島出張所(現・ミナミ株式会社)も、矢部又吉の設計です。

 

交歓会の模様:会場は1階のイタリアンレストラン

開会前:銀行時代のお客様コーナーに集まっています。

関西支部長の挨拶:後ろが金庫室入口(扉は国産です)

 

2階ギャラリーから(中央が銀行時代の営業室、左側周囲がお客様コーナー)

 

4階のウエディングルーム

 

また建診協では毎年1月には新年賀詞交換会を行っていて、今年も学士会館でした。参加者は立春名刺交換会同様、北海道から九州まで総勢78名でした。

ホームページによると学士会館は以下のように紹介されています。(抜粋)

1877(明治10)年4月に創設した東京大学は、1886(明治19)年3月、「帝国大学」と改組改称いたしました。それまでの9年間、東京大学総理であった加藤弘之先生が退任されたのを機に、先生に対する謝恩会が開かれました。
これが「学士会」のはじまりです。のちに、旧帝国大学(現在の国立七大学[※])出身者の親睦と知識交流を目的とした場に発展して行きました。
※国立七大学とは北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学のこと。

長い歴史のなかで、様々な出来事もありました。1936(昭和11)年の2・26事件の際には、第14師団東京警備隊司令部が置かれ、1941(昭和16)年に太平洋戦争が勃発すると、翌年以降、会館屋上に高射機関銃陣地が設けられました。1945(昭和20)年には、会館の一部が空襲の被害を受ける一方、館内のいくつかの部屋を日本軍に提供することになりました。そして終戦後の同年9月、連合国軍総司令部(GHQ)に接収されて閉館。高級将校の宿舎や将校倶楽部として使用されていましたが、1956(昭和31)年7月に返還されました。

宿泊、レストラン、会議室、結婚式場などを完備する学士会館は、学士会員のための倶楽部施設ですが、現在では一部施設を除いて一般利用が可能となり、会員以外の多くの方々にご愛用いただいております。

学士会館の敷地内に、野球のボールを握った手の記念碑があります。これは日本に初めて野球を伝えたとされるホーレス・ウィルソン氏の野球殿堂入りを記念して、2003(平成15)年に建立された「日本野球発祥の地」のモニュメントです。

 

私たちの仲間はこのような会に参加することを楽しみにしているようです。もちろん年間通じて行われる理事会・総会・見学会・研修会などもこのように歴史的価値のある建物などを利用しています。

五感

五感(視覚・聴覚・臭覚・味覚・触感)は動物が持ち合わせている素晴らしい能力である。様々な分野でIT技術のことが取り上げられているが、五感は感性(エモーション)に左右されるのに対し、ITは論理性(ロジック)のみの評価で全く曖昧さのない世界であろう。感性とロジックを考えるうえで興味深いことのひとつとして、将棋や囲碁の世界で、棋士とコンピュータの戦いで、人間の感性とコンピュータの演算応力のどちらが優れているかです。

赤ひげ建太郎の仕事の中で建物の劣化調査と診断がある。建物調査においてもいろんな機械を用いて行うことができるが、まだまだ人間の五感にはかなわないのが実状です。人の五感は優れていて、床や壁のわずかな傾き・外壁の石が積まれているのか張られているのか・表面のデコボコ・タイルの浮きがあるか否かなど、機械では正しく情報を取得できないことがまだまだ多い。

コンピュータには感性はないと思うけれど、技術の進化で益々人間に近づいてきている。現場での人手不足を考えるうえで、また安全性や効率化や正確性などで、近い将来人間の感性と同等のロボットが現場を支える日は近いのではないでしょうか。一方ロボットは人間の活動をアシストする道具であるから、最終的には人の完成で判断するしかない。

人には五感に加えてコンピュータが持ち合わせていない第六感がまだある。

 

IT技術

毎日意識しなくても私たちの暮らしは見えないところでコンピュータに支えられている。一時たりとも社会や暮らしに欠かせないインフラです。

人口減少社会に入り益々コンピュータやロボットにお世話にならなければならなくなるのでしょう。昔見たことがある映画のように、ボットが人間を襲うようなことにならないのか心配であるが、映画で描かれたことが実社会で現実となった例は少なくはなく、人工知能と感情を持ったロボットが進化した場合、映画の中での空想事であると言い切れるのかどうか。

赤ひげ建太郎が社会に出たころは設計図を手で描く、この時代はすべてが手間暇かける手作業。やがて鉛筆で描くから、コンピュータで製図をする。このころになると電卓をほとんど使わなくなる。さらに進んで、一級建築士が手間暇かけてやっていたことが、コンピュータさえ使えれば素人でもかなりのことができるようになる。当然スタッフの業務時間は一気に短縮されるし、まさに「早い・正確・見える化」が進み、50年前にやっていたことからすれば格段の生産性の向上である。

今日日政府も提唱している「働き方改革・生産性向上」といったキーワードに示されていることが建築生産のあらゆる場面で具現化しようとしている。既に建設現場では設計図を片手にではなく、各職種がタブレットにより情報を共有しながら、品質の確保と後戻りをなくすこと・シュミレーションされた計画によるスマート化された施工手順、もちろん建設後のメンテナンスのための情報を残しながら。

これらの生産過程で必須となるのがBIMである。BIMとは生産過程で従来やってきた、設計図を書くのではなく、コンピュータ上で建物を作って、その情報を自動的に設計図に連動させるものである。BIMデータは建物を生む段階から生涯にわたって活かせるツールとなる。

IT技術は業務の進め方に革新をもたらす。IT革命は何も製造業にもたらす特殊なものではなく、私たちの暮らし方まで一変させる技術なのです。設計監理の業務の中には様々な要素があり、ひとつひとつの要素に対しIT化によって「早くて・正確で・誰が見ても分かる」ものとし、設計監理業務(作業)が一級建築士の専売特許ではなくなりつつあることを実感しているこの頃である。

 

 

 

マンションに限らず建物の寿命を決定付けるのは設備である。設備は人が暮らすうえで欠かせないインフラに他ならないからです。

マンションの設備を考えると、給排水設備・ガス設備・空調換気設備・電灯設備・電話設備・インターネット設備・テレビ共聴設備・インターホン設備・消防設備・防災設備・昇降機(エレベーター)設備・機械式駐車場設備など多岐にわたります。これらの設備のどれをとってもいったん故障となれば生活の不便を余儀なくされるばかりか、人命にかかわる設備もあります。

だから大規模修繕工事に関係するものとしては、建物の劣化や美観の回復だけを視野に入れて取り組むことだけでは不十分と言える。大規模修繕工事はマンションの資産価値向上とインフラ設備の健全性を維持する上からも、更にはマンションの長寿命化も考えるうえでは対象業務の範囲から視点を外すことができないのです。

第一回目の大規模修繕では設備関連の劣化はさほど進んでいないかもしれないが、次回以降の計画修繕を考える上では、第一回目の大規模修繕を侮ってはいけないのです。第一回目の大規模修繕に合わせて設備関連の調査を行い、たとえ修繕メニューに入らないとしてもその記録を残すことは、次回以降の大規模修繕の際の改修メニューならびに計画修繕として必ず役立つものです。

設備改修の項目として、第一回目の大規模修繕の時期は、築後12年~15年経過した時点で行うことが多いようだが、インターホンの機器の更新時期がおよそ15年程度と言われていることもあり、建物の改修時期と重なってきます。さらには二回目の大規模修繕を築後30年~35年と想定すれば、給排水設備を含み多くの設備の改修時期と重なることも想定される。

マンションの設備の改修は居住者の生活制限を最小に抑える工夫を求められる以上、改修計画・改修技術そして費用と効果の面からも慎重に進めることが求められる。設備関連の改修、特に排水設備の改修はマンション固有の仕様があり、また改修に際しては専有部の内装工事などの影響を考慮すれば、改修時期の検討も含め5年程度の準備期間が必要となるでしょう。

第一回目の大規模修繕から助走を付け、二回目以降の改修をストレスなく進めたいものです。大都市部では2回目・3回目の大規模修繕や設備改修の事例が多く出てきていますが、地方都市においても設備改修が本格的となる時期は迫ってきていると考えられる。

このような点からも、建物改修だけではなく、設備改修にも十分対応できる設計コンサルタントの役割はより一層重くなることが考えられる。

ヴィンテージマンションプロジェクト推進協議会について

ヴィンテージマンションプロジェクト推進協議会
(ヴィンテージマンションの定義:古くても価値のあるマンション)
設立趣旨
我が国のマンションストックは610万戸を超え、都市部の居住形態としてなくてはならないものとなっています。一方で築後30年を経過するマンションも約150万戸と全体の25%となり、国土交通省も建替えや老朽マンション対策としてその施策を検討しております。しかし、国土交通省の平成25年度のマンション総合調査によると、約9割の分譲マンションでは長期修繕計画を作成し、管理組合、管理会社、施工会社、コンサルタント等がそれぞれの役割のもと、適切な維持管理を行ってきております。それにも関わらず分譲マンションの中古販売価格は、年々下がる一方であり、資産価値を向上させる大規模修繕工事やリフォーム、リノベーションを行ってもその評価がまったく反映されていない状況にあります。
これについては、日本の分譲マンションの歴史がまだ浅く、実際にその寿命がどのくらいあるのか、保たせることができるのか、といった情報が不足していること、その検証が行われていないことなど、適切な評価を行うための仕組み作りがこれまで行われてきていなかったことが原因としてあげられます。

そこで、適切な建物評価のあり方やその検証作業、実例報告などを関係団体の連携のもとに調査・研究を行い、関係各所に提言、支援、情報発信することを目的として当協議会を設立しました。
平成28年2月17日

協議会構成メンバー

【代表委員】
一般社団法人 マンション計画修繕施工協会 会長 坂倉 徹
【委員メンバー】
NPO法人 全国マンション管理組合連合会
一般社団法人 マンション計画修繕施工協会
一般社団法人 日本マンション管理士会連合会
一般社団法人 リノベーション住宅推進協議会
一般社団法人 マンションリフォーム技術協会
公益社団法人 東京都不動産鑑定士協会
NPO法人 リニューアル技術開発協会
建物診断設計事業協同組合
西武信用金庫
ハウスプラス住宅保証株式会社
株式会社住宅あんしん保証
【協議会事務局】
一般社団法人 マンション計画修繕施工協会内
【オブザーバー】
住宅金融支援機構
一般財団法人 不動産適正取引推進機構
一般社団法人 マンション管理業協会

 

詳しくは http://vmp.jp.net/

 

(協議会参加団体への通知について)

ヴィンテージマンションプロジェクト推進協議会において、国土交通省の「良質な工事を適正に評価する」仕組みの開発として、「良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業」の採択を受け、計画修繕工事における「マンション共用部評価書・同基準」の検討、作成を行って参りましたが、今般その作業が完了し、マンション管理組合に向けてのセミナーなどでPR活動を行います。

 

 

 

ツボ

人の体でもツボでないところに鍼やあんまをしてもらうと、コリが取れるどころか不調になってしまいます。

大規模修繕工事でも同じで、“ここは部分補修・ここは防水・ここは塗装・ここは取替え”といったように、適材適所の修繕方法があります。

ところが“防水業者は防水・塗装業者は塗装・金物業者は金物・電気業者は電気・配管業者は配管”といったように専門分野が分かれている。建物の修繕工事はそれらを統合して成り立っているのです。

細分化されている工事項目を統合して、建物の最適化を効率良く進めるプランを作るのが設計コンサルタントの役割のひとつでしょう。

実際、改修後の現場を見てみると、ここはウレタン防水をキチンとやらなければならないところに塗装をかけていたり、雨かかりで錆から腐食に至る鉄部の部材をステンレス製の部材に交換しなく塗装してみたりと、建物を守るためには必ずやらなければならない工法をやっていないことを見かけます。これは自社の得意分野で済ませれば手間もかからず楽だからです。

設計コンサルタントも同様です。大規模修繕工事は1回で終えるものではないはずです。調査過程で給排水管の状態を調査しておくべきところをやらなかったり、改善すべき点をおろそかにしたり、とにかく簡単で自社の得意分野でことを済まそうとする傾向があります。

1回目の大規模修繕であっても侮れません。いい加減な修繕工事だと必ず2回目の大規模修繕工事に悪影響が重なります。これは費用面でも多大な損失となるものです。(実際に2回目・3回目の修繕工事で複数件経験済み)

工事現場の品質管理は一義的には施工会社の現場代理人(監督)によりますが、工事請負契約書に“どの部分の修繕をどのような材料と施工方法とする”と明示する必要があります。

この書類を明示していない設計コンサルが多いようです。契約図書に明示することで建物の修繕方法を指定し、契約通りの工事となるように監理する。そのことがマンションの長寿命化とコストの低減へとつながってゆきます。

調査・診断・建替・維持管理など
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100年後を考えたストック建築も、
今までの設計思想を変えると可能となります。
建診協は今だけではなく、未来も見定めて進みます。