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一生のなかで何度も建築工事の請負契約書を取り交わす人は少ないと思います。私は仕事の関係上多くの契約書に監理者として捺印してきました。

私たちが監理者として工事の契約書に関与する場合は、工事施工者にこと細かく資料添付を要求します。
1. 契約書の鏡
2. 工事請負契約約款
3. 設計図書(見積書、設計図、仕様書)、もちろん当方が作成した資料です。
4. 現場説明書
5. 質疑回答書
6. 公聴会(ヒアリング)資料
7. 契約前の打合せ記録書

物件によっては契約書の厚さは8センチにも及ぶ場合があります。なぜ事細かく契約書を整備するのかといえば、曖昧さを残せば時として金銭面を含む混乱まで生じるからです。当然混乱が生じれば発注者であるお客様に対して迷惑がかかります。別の見方をすれば、工事請負側に自由裁量の余地を残さないことでもあります。

工事が始まれば契約書に綴じこんである設計図書等の資料どおりの品質の工事が進む事を期待し、そのために監理を実施してゆきます。当然工事過程の記録もしっかりと残す事も重要となります。

安全でなければならない家庭で起きる事故の事はあまり知られていない。
段差解消や手摺を付ける、このようなところは何も説明しなくてもお分かりだろうと思います。しかし事故は高齢者だけのものではありません。小さなお子さんにも危険はたくさんあるのです。

では家庭内のどこで事故が多いのかを考えてみると、高齢者では居間が一番多くて、浴室での転倒が多いようです。居間が意外に多いのは床に置いていた新聞やチラシ、電気製品のコードに足を引っ掛けるといったものです。
一方特に危険なのは、浴室・脱衣室・トイレなどで起きる「ヒートショック」です。「ヒートショック」は住宅内の急激な温度差に起因する事故で、年間3000人もの人が死亡していると言われています。

次に小さなお子様の事故ですが、台所の火や刃物の事故が考えられるが、一番多いのはドアなどにぶつかる、建具で指を詰めるなどの事故のようです。危険と思しきところへの気配りが親御さんの意識のなかで大きいのかなと思われます。もちろん転落事故だってあるわけですから気をつけなければなりません。

外断熱か内断熱か

住宅の断熱を考えるとき、どんな理由で外断熱か内断熱の論争がなされているのだろうか。
外断熱は外壁の外側を断熱材で覆います。内断熱とは外壁の内側に断熱材を張ります。木造の在来工法(大工さんの建てる家)は外壁内に断熱材を入れます。したがってこれも内断熱工法と称しています。

断熱材の性能としては熱伝導係数で表されています。数値が低いほど性能が優れている事になります。大雑把に空気は0.024、鉄は80、木材は0.14、因みに魔法瓶などで知られている真空は0.00137です。
これをみると鉄骨系のプレハブでは外断熱工法でしか考えられないのです。鉄はよく熱を伝えるので「熱橋材」とも言われています。一方木造は鉄に比べるとはるかに熱を伝えにくい材料です。しかし空気と比較すると大きいですがこの部分はやむなしと考えています。

断熱材の種類は多くあります。スタイロフォーム、グラスウール、古紙を加工したセルロース、羊毛など。それらをチップ状に加工し機械を使って狭いところに吹き込む工法などもあります。
断熱材の選定は、火災の際に有害なガスの出ない、あるいは燃えにくい材料である事は大前提となります。そして解体処分の際に分別が容易でありリサイクルも簡単である事もポイントとなります。もちろん安価なものでなくてはなりません。

最近ではコンクリート外壁の内と外側に型枠代わりとして発泡スチロールを使った特殊な工法もあります。もちろん型枠代わりの発泡スチロールはそのまま存置し断熱材としての役割も残すのです。

数年前のことです。小生が属している建診協の東京本部の事務所に行った時のことです。
事務局の方が、管理会社から「こんな請求書が来た事があるので参考に」といって一通の請求書を見せてくれました。
その請求書の内容は、都内で建診協の組合員が手懸けた建物調査診断業務の「工事管理手数料」一式32,500円プラス消費税1,625円、合計34,125円というものでした。

なぜ管理会社からの請求書?取引もないし、何か特別なことを依頼した事もないのに請求書が突然発送されるのか。一般常識では計り知れない出来事の話題でした。

もしかしたらその管理会社は、管理しているマンションが自分たちの物とまでは考えないまでも、自分たちのシマの物件を建診協の関係する組合員がそこで商売をしたのだから、組合員の属する建診協にショバ代を払うのが当たり前だとも思っているのかと勘ぐりたくもなります。
このような請求書事件には唖然とさせられました。もちろん建診協としてもお支払いする理由が見当たらないので支払い拒否と強く通知したのは当然でした。

請求書ではないのですが、四国のマンションの例です。
そのマンションは新築間もない頃から不具合が多発し、そのなかでオートロックを入ったところの修繕の事で、管理会社のスタッフに、修繕の際「何方の了解を得て内部に入って修繕を下のですか?」と問いかけたところ、「管理人の了解で中に入って修繕工事をした」との回答でした。
そこで「このマンションは管理人の所有物ですか?」と話を切り返すと逆切れで、「自由に入れる範囲はどこまでなら良いのか?」とスタッフ君は言葉を荒らしました。
管理組合の役員の方に話を通してからオートロックのなかに立入るのが常識でしょう。
マンション管理のプロの名が泣きます。

もしかしたら、彼らはこのマンションは自分たちのシマとでも勘違いしているのかもしれません。
折り目、筋目の話は重要だと思います。企業のコンプライアンスにも疑問符でした。

3年ほど前のことです。
中国地区内のあるマンションの修繕委員長様からのメールの一部です。
大規模修繕工事を予定されていて、管理会社をどのような位置づけで考えたらよいのかという内容です。
その過程で、管理会社から配布された冊子に載っていた事のようですが、その一部部分に、私たちにとっても聞きなれない「新形態のJV方式の特徴」ということです。

メールに記載されていた「新形態のJV方式の特徴」の概要について(メール文より)
1. 契約について
・ 入札で決定した①業者と②管理会社系列企業と③管理組合三者で契約を行なう。
・ ③管理会社系列企業には④管理会社が連帯保証する。
2. 価格について
・ 入札の最低価格+5%を契約金額とする。
・ 設計監理・工事監理は④管理会社との別契約となる。
3. 保証について
・ 工事の保証は全て、②管理会社系列企業が行う。
(保証額については最終入札価格の約5%)
・ 保証期間は一般的アフターサービス基準の1.5倍。
(屋上防水は通常10年の保証だが、15年保証とする)

このメール文を読んで、小生は目をぱちくりさせました。
1. 何でこのようなややこしい方式にするのか?つまり、四社の役割と責任が分らない。
2. 2.第三者のチェック体制がない。誰が品質のチェック機能を果すのか?
3. 業者の保証をなぜ施工をしない会社が保証するのか?また保証の内容が不明。完成保証?
4. 価格については消費税込みの金額だろうと思われる。
5. 設計監理・工事監理についてまだ余分に費用が必要なの?よく分からないが。
6. 完成後のアフター保証は工事業者ではなく、なぜ管理会社系列企業が行うのか?
7. 一般的に防水保証は10年だが、それ以上の期間を提示すること自体おかしい。
8. この種の保証は、工事請負者・下請け防水業者・防水材メーカーの3社保証が常識化している。
とにかく素人の方は「保証」と言う言葉に弱く、実効性のある「保証」かそうでないかを見抜かなければならない。

ややこしい話は気を付けなければ。

仕事も一段落。予てから整備したかった書類の整理棚。一週間ほどかけて1階を片付けました。
メインは書棚です。材木屋さんから木材を購入し自分で組み立てました。費用はおよそ3万円弱。組立ては電動ドライバーでのビス止めです。
かつて2階に同様の書棚を作った経験(施工実績)があるため、今回は段取りよくできました。この作業は仕事の合間を見計らって、そして片付けや掃除を行いながら、そして身体をいたわりながらの作業のため多少の日数を要しました。
このような棚があれば片付けやすく、収容能力も抜群です。ご自宅の倉庫などで整理棚などお考えの方はご一報下さい。作り方のコツをお教えします。

片付け作業は、野放図に散らかしていた資料の持ち歩きと書棚の移動。秋とはいえ、ジンワリと汗が出てきます。

設計事務所には多くの資料があり5年程度の保管義務もあります。長く事務所をやっていますと図面や書類でスペースがなくなってきます。そうすると必要なときにひっくり返して探し回る。これでは大変です。
最近はデジタル化が進み、データをCD-RやDVD-Rにして保管するためかなり書類は少なくなりましたが、それでも1物件でダンボール一箱くらいにはなるので、業務ごとに整理する事が一番です。

この度の整理で一部屋(6坪)が丸々空き部屋になります。SOHOに最適ですので、利用したい方がいればご一報下さい。電話:086-223-2802

建診協主催のマンション勉強会の出前を平成20年度から始めて35回目となる。出前会場は中四国地区の主要都市で回数を重ねてきたが、出向いてゆく機会が増えるに従い、折角だからご当地の温泉にでもつかりながらおいしいを楽しむこととしている。
5年間の間に大々的なセミナーも行い、多くの管理組合の皆さんとの出会いがありました。そのなかでマンションが抱える様々な課題にお応えしている過程で、当方も多くのことを学ばせていただく機会を得ました。

次回は徳島市です。
10月20日 午後1時30分より シビックセンター 活動室(4)
現在お隣の鳴門市で大規模修繕工事の業務を行っています。
鳴門金時と鯛を楽しんできます。

次々回は11月17日の予定で松山市です。
もちろん一泊必要だから、新たな感動を楽しんできます。
管理組合の方にもお会いするのが楽しみです。

10月19日(土)には、岡山県・岡山市・倉敷市主催のセミナーが予定されていて、私たちが所属する建診協中国・四国支部として470名の方にご案内を差し上げました。

このセミナーも、建診協中国・四国支部は協力団体として参加します。
なお当日の講師の一人が、わが建診協理事長の山口実が後援することになっています。

建診協には電話やお手紙でご相談が多く寄せられます。
その中で大規模修繕工事について、どのような手続きで業者が決まったのか分らない。理事長が管理会社に丸投げで困っている。工事が始まったのだがタイルの浮きが多くて多額の追加が出て困っている。工事金額多額で積立金が殆んどなくなってしまう。等などお問合せは多種多様です。しかし当方が関与していない案件では残念ながら一般論での内容でしかお答えできないのです。理由は取引関係の当事者ではないから具体論ではお答えできないからです。

大規模修繕に限らず人情として“高品質で低価格”を求めるのは当然ですが、マンションの場合は「公平・公正・公開」の原則があります。
大規模修繕工事は区分所有者全員から集めた“公金”とも言える資金を原資に行うものだから当然と言えば当然です。
大規模修繕のクライマックスは業者選定にあります。この選定プロセスを明快にし、情報公開に耐えうるものとして記録しなければ、特定の人が何かで利益を得ているのではないのかといったことで、マンションのコミュニティを破壊することにも繋がりかねません。
ここでは本当に管理組合の力量が試される場面となります。
とは言っても、大規模修繕工事ともなると建築の専門家の力も得なければなりません。その際、誰を管理組合の味方につけるかが問題となります。管理会社?設計事務所?工事会社?自分たち管理組合で?

重要なのは工事で利益を得ない第三者的な立場で、管理組合の利益を優先して行動できる人でなければなりません。
その役割は、大規模修繕といったハード面だけではなく、管理組合の運営が適正かつ円滑に進められるようソフト面についても十分サポートできる、マンションの事を良く知っていて大規模修繕工事の経験と実績を持った人が望ましいと思います。

ここで注意が必要です。表面的には第三者的な立場を取っているが、業者にバックリベートを要求する。業務を自らやらず丸投げする。業務費用が明確でない。大規模修繕工事でいつも同じ組み合わせの業者がいる。これらは注意が必要です。
もちろん他のマンションからの評価も委託先選定の重要なポイントとなるでしょう。

プレジデント2008年3月号に掲載された、経営コンサルタントの矢内世夫氏の記事を紹介します。
記事の内容は「管理の差で、生涯1000万円の差が出る!」というもので、記事の一部を紹介します。
私は過去30年の間に七つのマンションを購入し、そのすべてで管理組合の理事や理事長を経験した。それらの経験から「マンションの資産価値を守るのは管理会社ではない。あくまでも所有者本人たちの自己責任である」といえる。
ところが実際には、すべてを管理会社任せにしてしまうケースが大半だ。マンション購入には熱心なのに、購入後の管理については「無関心」かつ「勉強不足」の組合員が多すぎる。これでは管理会社の思うツボで、数年後に管理費の値上げや、15~20年先には大規模修繕資金が不足して50万~100万円を臨時徴収される可能性さえあるのだ。
一方で、自分たちが勉強し、知恵をつけたことで、管理委託費を50%以上も下げることに成功したケースもある。例えば、管理費の内訳を精査し、他マンションの事例と比較したり、他の管理会社への見積もりを発注したりすることで、管理費は大幅に変わってくる。管理会社の言いなりではなく、理事会は「管理に見合うサービスが提供されているか」という問題意識を常に持ち、業務内容をチェックすべきだ。

維持管理は新築時より、建物の劣化が目立ち始める築15年以降になると段々に難しくなる。大規模修繕に必要な予算が不足し、工事がおざなりになって建物がスラム化に向かう恐れがあるからだ。さらに、組合員が高齢化して理事のなり手がいなくなる悪循環も増えている。

小生も矢内氏の記事に同感で、ある勉強会の会場で「うちのマンションは管理会社変更で年間60万円下がった」と言われた方がいました。60万円だったら10年間で600万円となります。あながち1000万円の差が出るといった話は絵空事ではないのです。大規模修繕工事の予算が600万円増える事は、劣化予防的な工事も十分可能となるのです。
さらに別の方からの発言で、管理会社から「管理会社は変えられない」と言われているが・・・。
そうすると別の方が「うちのマンションは3回も変更した」「変更ができないなどウソだ」と言われると、最初の方の反応は「えー、できるの!?」でした。やはり知識を取り入れる努力は損得に反映されることも実感させられた勉強会でした。

商取引の原則

お付き合いと取引を混同していませんか?
一般の企業だったら契約を適正に履行していなかったら、改善の要求、さらには即取引停止となるのが常識です。
ところがマンションの管理委託契約の場合、「管理人さんがいい人だから」といったこと具合で、委託契約の履行がきちんとなされていなくとも改善要求が出されていない場合が多くあります。契約事項の履行要求を厳しく行なわないマンションは、管理会社主導の運営がなされるようになります。管理会社に理事会を委ねてしまう事は、そのマンション全体の命運をゆだねる結果となり、行き着く末は大事なお金を浪費してしまう事が目に見えています。このようなことを一般の会社で行えば、相伴会社は倒産となるでしょう。

よく管理組合の方が、管理会社の良くない部分の不満を言われますが、管理会社をいくら変更しても、管理組合の自立がなされていなければ事態は改善されないと思います。やはり見識と筋の通ったリーダーシップを発揮される理事長さんの下では管理会社との間でも緊張関係を保ち、フロントマンのアドバイスに対しても響いてもらえる理事会であれば管理会社のフロントマンも生きがいを感じると思います。
逆の見方をすれば、何を言っても響かない管理組合に対しては、「やる気が出ない」と言われても仕方が無いのです。

調査・診断・建替・維持管理など
何でもご相談下さい!

100年後を考えたストック建築も、
今までの設計思想を変えると可能となります。
建診協は今だけではなく、未来も見定めて進みます。