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管理規約の重要性

管理規約はマンションにおける憲法です。

その為、管理規約の内容は非常に重要になってきます。

規約でペットが禁止になっていたら最終的に強制執行をかけることも可能です。

マンションは一つの集団であり、そこにはルールが存在します。

法律として区分所有法があり、それをより具体化したものが管理規約となります。

管理規約は強行規定といわれる規約で変更できないことを除いて、ほとんどの定めを行うことができます。

管理規約の定めをしっかり行いそれを執行していくことで、優良なマンションとなり資産価値の向上につながることになると思います。

何より住んでいる人間が気持ちよく住めるのがなによりではないでしょうか!

軽視され続ける管理規約

管理規約はマンションでは最重要の決まりごとですが、なかなか上手く運用されていないことが多いようです。

その要因として下記のことが考えられます。

    1. 管理規約の内容を知らない
    2. 住人同士だとなかなか言いにくい
    3. 役員自身が規約違反行為をしている
    4. 管理員や管理会社の怠慢

上記のようなことから管理規約は有名無実の「ザル」規約になっているマンションが非常に多いのではないでしょうか。

管理規約の遵守はある程度、管理組合役員の毅然とした行動が必要となるので積極的な役員にあたった時は、規約の執行がなされるが、そうでない場合は規約の執行がされないままいわゆる「黙認」状態が続いてしまいます。

こうなってくるともはや、マンションの憲法とは程遠いものとなります。

具体性がない

管理規約はマンションのルールを具体的事例に対しての対処方法を記すものであると考えます。

規約のルールに抵触すると考えられるので、管理規約を盾に住人に主張しようとしたが、いざ管理規約を見るとどちらとも言えない言い回しであり、規約違反とまでは言い切れない場合はどうしたら良いでしょうか?

逆に規約で認められると考えられる場合は、当該住人から逆ねじを食わされる可能性もあります。

疑義があるものについてはマンション管理士等の専門家にアドバイスを聞くことがまず重要ですが、いづれにしても疑義が発生するような管理規約はできるだけ避けるべきです。

管理規約は一度改正を行うとなかなか頻繁に訂正を加えることをしない場合が多いので、管理規約改正の際には五感を最大限に働かせて抜けの無い管理規約を作成することが重要です。

規約の拘束力

管理規約はそれを総会の特別決議で決定されれば拘束力を持ちます。しかし、法律であれば何も言わなくても警察等の行政機関が執行してくれますが、管理規約はそうではありません。

管理規約の執行機関は管理者であり理事会なのです。しかし実際には管理規約を改定することで終わっている場合がほとんどではないでしょうか?

管理規約は最終的には裁判で通用するような拘束力をもちますが、マンションの中で裁判にもつれ込むことはほとんどありません。つまり、管理規約は執行する為の「大義名分」である意味がかなり強いといえます。

その大義を使わないことは管理規約の存在意義すら否定することになります。

管理規約も重要ですがそれを執行する方法こそもっと大事なことだと考えます。

必ず定めるべきこと

規約の内容は強力であればあるほど良い訳ではありません。

当然管理組合の不利になるようなことを記載するのはナンセンスですが、住人同士の生活を考えると単純に割り切れない問題が多く出てくると思われます。

その場合は理事会などでよく話し合ってより良い具体的な方法を見つけ出してください。

例えば管理費等の督促について裁判を行った場合の弁護士費用を請求できる旨の文言を入れておくことなどがあります。

一文文言を入れておくだけで正当に主張していくことが可能になります。

そのようなことはできるだけ盛り込んでおくことで、後から効いてきます。

未来の管理規約

マンション事情も年々複雑になり、その都度法律が整備されています。

このような流れは今後も増加するものと考えられます。

これからの日本は超高齢化社会へと移り変わっていくので、当然それに沿った形のものを作っていかなくてはなりません。

管理規約はより高度な内容が求められるようになり、デベロッパーが作成したもので改正を行わないことはマンションを住みにくいものとし、強いて言えば将来の生き方を狭めるものとなりかねません。

高齢者が快適に住めるマンションにするにはどうしたらよいでしょうか?

それは高齢者が主導してマンション自治を執行していくのがいいのですが、現実問題として高齢者にはそのような体力がなかったり、判断能力が低下している場合もあります。

マンション内での認知症も最近積極的に取り組んでいる団体もありますが、そのような問題は今後沢山出てくると思われます。

高齢者の意見をできるだけ取り入れられるような仕組みをマンション内で築きあげることです。

例えば高齢者だけで作る団体を諮問機関として理事会外部に設置する等や定例アンケートを実施するなどして、意見を吸い上げる方法が考えられます。

広報物の文字もできるだけ大きく、かつ平易な内容にすることが重要です。

総会を成功させる七つのポイント(福管連資料より)

Ⅰ.総会の時間は、2時間以内で終わるように工夫する。

Ⅱ.報告ばかりでなく、話し合いに多くに時間をとる。

Ⅲ.総会での激しいやりとりを聞くと嫌になります。これは議長から注意も。

Ⅳ.一人の独演会になっていませんか? 多くの方の発言を引き出しましょ

う。

Ⅴ.理事会の結論を無理やり押し付けない。

Ⅵ.身近な問題を議題に取り上げる。 これは理事会でよく検討してから。

Ⅶ.全部の議案が審議された後は、雑談会(意見交換会)に切り替えてみては。

■ 出席しない区分所有者を無関心と決め付けない。

関心の高い区分所有者は無理をしても総会に出席します。

問題は出席しない区分所有者です。安易に無関心派と決め付けてはいけません。

関心があっても、退屈な総会、出席が苦痛になる総会では出席者が減る一方です。

■ 総会・理事会には事前に配布した名札を持参する。

(区分所有者の顔と名前が分かる)

[総会・理事会の席で、議長の選出と議事進行について]

□ 議事進行の原則は、規約に則り(規約第○○条の規定により)総会・理事会(議事)を進行します。つまり自己流で議事の進行をしてはいけません。

□ 理事席には三角札を用意、理事長席は「理事長と議長」を一面ずつ書き込む。

○ 定刻に理事長が開会宣言と挨拶

① 議長選出:理事長が説明(多くの管理規約では理事長が議長を務めます)

② 理事長が「規約第○○条の規定により議長を努めます」と宣言

※三角札正面を「議長」にする。

③ 議長より、規約に基づき会議の成立宣言(委任状を含め定足数の確認)

④ 議事録作成人と署名人(2名)を指名(承認を得る)

⑤ 「管理会社がオブザーバーとして出席しています」と紹介

⑥ 「発言は議長の指名によってのみ発言することが出来ます」と説明

「その際は、部屋番号と姓名を発表した後発言して下さい」と説明

⑦ 「議案以外のその他の事項は審議しません」と宣言。但し規約に基づく手続きにより取り扱う。

⑧ 「議案書に基づいて審議をお願いしますのでご協力をよろしくお願いします。」と発言

⑨ 議案に沿って議事進行。

⑩ 議案毎に一定の質疑を経て適宜可否の決を明確に採ります。

※表決数を確かめること。そして議長は結論をはっきり示すこと。

⑪ 議事終了(この時点で議長の役割は終了です)

⑫ 議長より「これにてすべての審議が終わりました。ご協力ありがとうございました。以上をもって議長の役割を終えたので議長を退きます」

※三角札正面を「理事長」にする。

⑬ 理事長閉会宣言と挨拶

⑭ 次回の総会・理事会の開催日時を決める。

○ 解散

(1) 役員(理事・監事)選任は、議長より役員候補者を紹介し総会の承認を得る。

(2) 総会休憩 休憩中別室で新理事が協議する。※理事長・副理事長互選のため。

(3) 総会再開 新理事長が議長に協議結果を報告し、総会に報告する。

[議事録の作成について]

○ 議事録は簡潔に書きます。

(できれば結果のみ、必要な経過も最低限に)

(複雑になれば別紙に記録として残します)

(書面は分かりやすくするために、意見の対比形式でも可)

○ 議事録は議案議題に書き換えて結果を記録しても良い。

※表題を議案書から議事録に書換えて、議案の下に結果を書き込むだけでも良い。

○ 議題について、可決(無条件可決・条件付可決)結果を記録

○ 議題について、否決(否決理由)結果を記録

○ 議題について、継続審議(継続の理由)を記録

○ 議事録署名の前に、議長ならびに出席者(2名で可)が確認、そして押印。

○ 議事内容と異なれば、修正する。

○ 議事録の保管場所、掲示。理事を含む区分所者全員(賃貸借者を含んでもよい)に配布しても良い。

管理組合活動の活性化の方法

管理組合の活性化はどのようにしたら上手くいくのか。

多くの住人が無知・無関心で、管理組合活動に非協力的。理事会は定期総会の前後の年に2回だけ、この状態をどのように脱却したらよいのだろうか。

[対応策として(案)]

(1) 管理組合を活性化させるためには、まず理事会を活性化させること。

(2) そのためには他人まかせにせず、自分自身が立候補して役員になること。

※ 殆んどの管理組合は輪番制だが、規約には明示されているのか。       

(3) 管理会社の毎月の会計報告など、定例理事会で役員が顔を合わせて話し合う機会を設けること。

(4) 毎月広報誌を発行して、理事会の動きや、考えていることを積極的に住人に知らせること。

(5) 同時にアンケート調査により、住人の考えや意見を理事会に吸上げる仕組みを作ること。

この活性化の方法をビーカーの水に例えると、ビーカー(管理組合)の水の上の方(理事会)だけが熱していても、下の方の水(住人)は冷たいまま。その温度差を解消するには、水に対流を起こさないといけません。上から広報誌という下向きの水の流れを作り、下からは意見箱やアンケート調査という上向きの水の流れを作る。このようにビーカーの中をぐるぐると水(情報)が回る流れを作って、はじめてビーカー全体が活性化するものと考えられます。

■ 非協力者との調和

マンションに限らずいろんな団体でも、協力的な人と非協力的な人が必ず並存します。その場合に非協力者をどのように扱うかは非常に難しい問題です。しかし、非協力者を無視するようなやり方は後々禍根を残しかねません。むしろ積極的に管理組合の運営に引きずり込むくらいのことが必要かもしれません。

非協力者は後になってから「あの時こうやっておればよかった」と言います。その時に最良と思われる決断をしたのであれば、それは本来尊重されるべきですが、それまでの経緯が分からない為に思わぬ「口撃」に遭ってしまうのです。

非協力者を巻き込むには積極的にチラシを配布したり、イベントの参加を促したりする方法がよいでしょう。少なくとも歓迎しているという姿勢を見せることで、今度は協力的な人になる可能性もあります。

■ 信頼とのバランス

管理をするに当ってはある程度の信頼が必要です。

お互いに信頼関係があって初めて成り立つのが管理です。信頼がなければすべてにおいて疑いを持たなくてはならなくなり、何も信じられないと言うことになります。物事はある程度誰かに任せなければ話が進みません。

性善説も程ほどにしなければいけませんが、何事も斜めから見ることだけは避けた方が結果的に自分のためになることの方が多いと思います。

これは食の安全と繋がるかもしれませんが、考え出したらキリがありません。無農薬野菜と言ってもどこまでが無農薬なのか?細かいことを突き詰めれば無害の食べ物など無いということになります。

問題はアスベストのような、数年たってから重病が発生することを放置しておくことです。このようなことからは消費者は賢くならなければなりません。

マンションの管理組合は、言わば法人に近い存在ですが、実態は消費者と同様です。消費者であるにもかかわらず、手厚い保護がないのが管理組合でもあります。

見極める目を持つためにも、自らが学習する必要があるでしょう。

■ 無関心が生む大きな差

マンションを買う人は管理に関して無関心の人が少なくありません。

竣工して年々総会の出席率も悪くなり、無関心というよりも他人事のようなマンションが少なくないのも事実です。

あるいは関心があるけれど、同じマンションに住んでいる手前、あまり変な関係になりたくないとの考えから消極的になる人も少なくないのではないでしょうか。

ただマンションの居住者が無関心であればある程、マンションの管理はよからぬ方向に行き始めます。マンション管理というのは、出来合いのものでない以上、良くしていく精神が無ければ年数と共に歪が出てくるのは当然だと思います。

決算にも無関心・行事にも無関心では、自分の管理費や積立金が何に使われているのか分かりません。もし、自分の将来を不安に思っているのであれば、少しだけ努力することが必要です。例えば、管理会社に委託している場合でも、予算案作りを管理会社任せでは無く、一度自分で作成してみることをお勧めします。

当然、難しいことは専門家に任さざるを得ませんが、それ以外の注目すべき点を知っていれば、問題点は容易に見抜けるものです。

■ 高齢化は社会問題

マンションは建物と共に居住者も年齢を重ねます。

マンションが築30年になると、30歳にマンションを購入した人は60歳になっています。

60歳になった時にマンションの根本的な問題に気付くことがあります。

それは、今更取り戻せない問題に膨れあがっていることが殆どです。その時になったら「あーしまったな」と諦めることが出来ますか?

そうならないためには、普段から建物の定期的なメンテナンス(ハード面・ソフト面)をしておく必要があるのです。

長期修繕計画というものがありますが、はっきり言って将来のことは誰にも分かりません。適切な時期に適切な修繕工事をすることは大切ですが、時代に応じた対応をしてゆくことはそれ以上に必要となります。

修繕あるいは改良工事を行う資金が無いために老朽化したまま放置されているマンションも多く見受けられます。

また建物同様にマンションに住んでいる人間が高齢化していく問題も切実です。

高齢化すると時間にゆとりができるため、管理組合の運営に積極的な人が増え、マンパワーは逆に充実するケースも多いのですが、その半面積極的な提案が行なわれず、次代への引継ぎが出来ないこともあります。

そして、あと10年もすれば体力の低下などがあり、再びマンパワーは低下します。

■ 小規模マンションの結束力

マンションは一般的に大規模の方が金銭的に恵まれていると言われています。

それは、同じ工事をするにしてもまとまった工事になるため、1戸当りの単価が下がるためです。

では、常に大規模マンションがいいか?と言うとそうとも言い切れません。

小規模マンションの良いところは住人の結束力です。別の言葉で言うと、アットホームな感じの管理組合運営が可能です。

大規模マンションであれば、知らない顔の人と毎日のように会うかもしれませんが、小規模マンションはそのようなことは少ないと思います。

小規模マンションはもっとメリットを活かしましょう。

「善悪か損得か」管理業者の姿勢に注目 

管理会社の見分け方についての資料ですが、書店・マンション管理士協会系列・大手マンション管理会社ホームページ等でも「見分け方」については、とおり一遍の事しか記載されていないと思います。

その記載されていることは管理業者選定にあたっては、最低限必要な基準であると 考えております。

そこで、良い管理会社の見分け方について私の独り言を、述べさせていただきます。 

一番重要なことは、フロントマンの良し悪しだと思います。

大手であればあるほど会社の売上が至上命題となってまいり、一人のフロントマンが15~20棟のマンションを管理している状況があります。

私は1人のフロントマンが管理できる棟数は10棟までだと考えております。

それ以上の管理になると、ベテランフロントマンでもどこかで手を抜かなければ、いや手が抜けてしまいます。

また、フロントマンは1年でやっとマンション管理の概要がわかり、最低3年を経ないと正直なところ、管理組合に喜ばれるマンション管理の運営は難しいと思っております。

しかし、良くない管理会社はなかなかフロントマンがいつかなく、たびたび交代するところです。 

そこで最近の傾向として、管理委託を管理会社に委託しているにもかかわらず、どうしてよいかわからず、マンション管理士に相談をしている傾向があります。

私はそれも一つの方法かと考えておりますが、やはり組合員の最前線にいるフロントマンが、相談にのり、的確な助言を与えていかなければ、と考えております。

そのためにもベテランのフロントマンがいる会社、管理組合の方に目を向けることのできる会社であるかが、選定の際に一番重要なことではないかと考えます。 

どの地域でもマンションの住民の高齢化が目立ってきており、住民にとっては今後のマンション運営に不安を抱えてきているところが多くあります。
これは特定の地域だけに限らず全国的な広がりではないかと思います。 

それにもかかわらず、修繕工事が適切におこなわれていないマンション、修繕積立金のプールがないマンション、理事会の運営がスムーズにいかないマンションは、年数がたてば経つほど不安が増大してまいります。

そのためにも管理会社のフロントマンの使命は重大だと思っております。 

                       ベテラン管理業務主任者

今時こんな感覚を持っている工事業者がいるもんだと感心(あきれ)させられることが起きました。 

建築工事も企業間あるいは役所との取引である限り、口頭であろうと書面であろうと契約と言う概念は存在します。建築生産の現場では、発注者(建築主)・設計者・監理者・施工者(元請業者)などの立場の人が関係してきます。 

ここで実際に起きたことを紹介し参考にして頂きたいと思います。

ある建築主(某役所)が私たちの事務所に設計監理を依頼した案件があります。当然役所と私の事務所とは委託契約を結び業務(設計)を進めます。そして設計書をベースとして、入札を執行し工事業者を決定します。そして工事請負契約の締結後工事に着手となるのですが、工事請負契約書には契約書ならびに約款・工事仕様書・設計図・入札見積書・場合によれば付帯書類を綴じこむこともあります。

契約書には、金額・支払い方法と時期・工事仕様書や設計図、入札見積書には、使用材料・寸法・工法・仕上・メーカーなど事細かく詳細に記載されています。これらの事項の全てが契約事項となるので、請負業者は任意に変更を許されなくなっているのです。 

この度、許されていないはずの事が起きたのです。そこで事の顛末をご紹介します。 

設計段階で特殊な建材を特定のメーカー指定を行なって設計していました。工事監理の段階で事が生じました。と言うより暴走が発生しました。

工事業者が指定メーカー以外のメーカーの製作図を提出してきました。当然監理者としては契約にない事項を認めることは許されません。そんなことをすれば建築主に対して信頼を失いかねないのですから。当然工事業者も設計内容を理解した条件で受注したわけですし、なお且つ入札見積書にも設計図書に指定したメーカー名も記載していました。これでは勝手に変えること事態もすでに矛盾だと思います。 

そうこうしている内、先方の出方が「建築主が良いといえば変えてもいいだろう」と言い出しました。このことは監理者の立場などたかが知れているくらいに思っているのか、自分の言い分を通すためには「他人の立場など知ったことか」となったのです。 

設計監理者は建築時に建築主の代理を行う立場なのです。工事予算と施工品質の審査、そして完成時の検査と支払い調書をもって、建築主が適切な費用で適切な建築物を提供されるお手伝いをしているのです。だから「建築主が良いといえば変えてもいいだろう」で直接の談判は、建築主にも大きな迷惑なのです。 

このような時代錯誤の業者が未だウヨウヨいるのです。今日、医者でも弁護士でもお客様に納得してもらうために説明責任があり、当然契約と異なる事項を協議するのであれば、それ相応のやむをえない事情を納得してもらう努力は必要だろうと思います。 

そして、その業者は発注者である役所に電話することとなったのでしょう。ここで役所として発注者の対応がひとつの課題となります。役所だから発注するに公平・公開で入札を行なって業者を決めなければならないのですから、ここまでは適正な手続きでも、契約内容を業者の要求に応じて「予期に計らえ」とまでは口が裂けてもいえないはずです。

役所の回答はやはり「我々は建築の素人だから設計監理を設計事務所にお願いしている。だから監理者の指導に従ってください」とすごく良識のある回答をして頂きました。 

以上のことを別の角度で見るとすれば、この業者は設計監理者の関与は承知のうえで、工事代金の受領は設計監理者ではなく、発注者である役所だから、お金を支払うところに権限があると考えたのかもしれません。役所はなぜ設計監理の費用負担をしてまでこのようなシステムをとるのかと言えば、税金と言う公金を扱うがために一定の品質保全が求められているからです。

民間工事で設計監理者の存在なくしてこのような工事業者に発注したらどのような事になるのか想像してみてください。自分の都合で利益確保のためには手段を選ばない? 

どのような仕事でも、発注者であるお客様に対し、愛情は必要だと思います。そのために自らの意思で契約したことは最低限守って欲しいと思います。契約を忠実に履行しないと契約違反や背任となることの認識も薄いのでしょう。 

業界のある方が言いました。「設計施工はドロボーに金庫番をさせているようなものだ」と。少し言い過ぎた言葉かもしれません。 

この顛末はこのような状況に展開しているので、その後の業者殿の対応に興味が出てきました。

気を付けなければいけないのは、請負業者が口にする「任せろ」「大丈夫」この言葉です。

素人の方でも何かおかしいと第六感に響いたら、立ち止まって考え慎重に返答することです。意思決定は自分のペースで行なうことが大切だろうと思います。 

そのためにはやはり信頼のおける専門家のアドバイスも必要に応じて活用されることをお奨めします。

冷暖房がなくても、年中暑くもなく寒くもない住まいだったらどういますか? 

「夏は暑くて冬は寒いのは当たり前」と言われてきました。季節での気候のことであれば当然ですが、住宅において本当にこれで良いのだろうか?

近年の夏の暑さは熱中症で亡くなる人もでてきています。しかも屋外ではなく住宅の中でも発生しているのはご承知のとおりです。 

これからの住宅は「夏は暑くて冬は寒いのは当たり前」ではなく、年中クーラーも暖房も必要ない、あるいは殆ど使用しなくても過せる住宅を当たり前にしなければならないと思います。 

ではその様にするためには何が必要なのかを考えてみますと、それは住宅の“性能”に目を向けなければならないと思います。 

性能のイメージを考えると、夏季において昼は太陽熱を遮りそして熱を貯めない。夜は冷えた外気を取り込み、室内を冷やす。冬季において昼は太陽熱を取り込み、夜は温まった室内空気を逃がさない。

性能の原則を機能させるために必要な要素が、断熱と気密と言うことになります。いくら断熱をしても気密が保たれていないと、断熱性能は発揮できません。冬布団にもぐっても、脇の辺りに隙間があると寒いと感じた経験があると思います。それからビニールハウスの中は真冬で雪がチラついていても何故暖かいのかを考えてみると、断熱性能が劣っていても一定の気密があれば空気とともに熱は逃げないのです。 

これまでの在来工法(一般的に大工さんが建てる住宅)の気密を考えた場合、一番問題になるのは壁の中の気密(気流止め)です。ここの部分をしっかりと手当てをしないと、壁の中に断熱材がいくら入っていてもその効果は期待できないのです。理由は暖かい空気は上昇する。上昇するには下から冷たい空気が入らないと上昇できないのです。 

気密も断熱も壁・床・天井と連続して切れ目なくすることが重要となります。つまり住宅の外側を断熱と気密を連続化させた“セルター”を作るイメージです。 

ここで重要なことがあります。それは換気です。機械的に換気させる換気扇は多くの熱を空気とともに排出します。でも換気がないと汚れた空気の排出が窓などを開けなければ出来ません。これでは断熱・換気の意味がなくなるので、熱交換式の換気扇が必要となります。

住宅を快適な環境を作る装置として考えれば、気密が有ると言うことは、機械を適切に活用すれば、真夏の排熱や夜間冷えた外気を室内に導入する事だって簡単に出来るはずです。夏の夜「中より外の方が涼しい」と感じた経験があると思います。涼しい外気を室内に導き入れることも簡単に出来るのです。これだと天然クーラーですね。 

断熱のことを考えると当然開口部(サッシやドア)の断熱気密の性能も考えなければなりません。このように理にかなった技術で工事を行なえば、間違いなく岡山のような温暖地域では床暖房は不要で、暖房器具一台で建物全体が快適な室温を維持できるはずです。そして夏季も一台のクーラーで事足りると思われます。 

ここで東日本の震災時に、高断熱高気密の住宅がどうなったかのレポートがあります。それによると、3月の厳寒時外は雪が舞っている。おそらく氷点下だろうと思います。地震が発生すると即停電。電気が来ないと当然暖房器具も停止です。ところが高断熱交気密の住宅は、夜間でも12℃より室温が下がらなかったそうです。このことを考えると、岡山では無暖房でも可能な住宅が作れると言うことです。 

マンションのことを少し考えて見ますと、コンクリートの建物は気密性能が比較的高いので室内は暖かいです。しかし残念なのは計画換気がなされていない点にあります。換気の機能が劣ると室内に結露は発生し、そのことによってカビが生えているお宅が多いです。カビが発生すると健康に悪影響を与えることは誰でも知っていることです。だから冬季でも時々換気することが必要となります。 

高断熱高気密の住宅の住まい手として心掛けなければならないことがあります。それは暖房などで水蒸気を発生させない器具を選定することです。つまり出来るだけ化石燃料を燃焼させて熱源を利用することを避けるべきです。もし薪などで熱源を楽しむのであれば、それ相応の適切な工法が必要となります。 

高断熱高気密の住宅は、新築時だけではなくリフォームででも出来る技術があります。この技術の特徴は耐震補強工事も同時に出来ることです。しかも大掛かりな工事でなくてでもです。おそらくこの技術は国の技術基準として定着するのかもしれません。 

高断熱高気密そして計画換気の技術は、住まいにおいて環境・省エネ・健康・安全の要素を同時に解消するものです。しかもこれらの技術は目新しいものではありません。さらに特別に工事費を押し上げるものでもありません。必要なのは住宅を建てる側が 住宅の“性能”にあまり目を向けていないことに課題があるように思えます。“性能”だから数値で予測し、数値で検証する必要がでてきます。

住まいを求める際に“温熱性能”を明示する工務店はすばらしいと思います。 

住まいの選定基準は、見かけだけでなく、“性能”にも目を向けて頂きたいものです。

Q:管理会社の対応がしっかりしないのだがどうすれば良いのか? 

マンションの管理会社と管理組合の関係を傍らから見ていると、しっかりしている管理組合ほど管理会社は「管理委託契約書」に忠実に業務を行なっているように見えます。

“管理会社”、何時ごろ誰が言い出したのかは分かりませんが、管理会社について国土交通省の表現は“管理業者”となっています。“管理会社”であろうが“管理業者”であろうが言葉の表現は別として、多くのマンションは自主管理ではなく管理の大半を管理業者に委託しています。 

ところが管理組合と管理業者の間で本当に信頼関係が維持されているのか否かを見ていると、50%くらいの管理組合は管理会社の変更を検討しているといった残念な声を聞きます。また実際に管理業者の変更を一度ならず、数度も行なっている管理組合も珍しくなくなってきました。

マンションの管理業務はそれほど多く儲かるビジネスではなくとも、安定した収益を期待できる魅力的な事業だと思うのですが、長期の絆を維持できないことは双方にとっても残念なことだと思います。 

では何故このような事になるのかを考えてみると、まず双方の初期の関係にひとつの要因があるように思われます。新築分譲・購入時に管理業者が特定されていることが上げられます。管理業者の立場から言えばお客様は誰?ではないでしょうか。初期に指定されたデベロッパー?それとも管理委託を受けた管理組合?どちらを向いて業務サービスをすればよいのでしょうか。 

例えば建築物に瑕疵が顕かになった場合、管理組合から指摘を受けた際に正面切ってデベロッパーに申入れが出来るのかといったことも想定されます。このような瑕疵について多くの管理組合は、工事を施工した建設会社に対し直接協議を行ったりしますが、正しい交渉相手は不動産取引を行なったデベロッパーと言うことになります。

因みにデベロッパーは、用地と建築物を仕入れ小売を行なうビジネスモデルです。建物が完成し、引き渡す時には、購入者に代わって竣工検査を行なう義務があると思います。法的にも「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅の品確法)」の適用を受けますので、義務の有無に関わらず建築主の社会的努めだろうと思います。 

これらの仕組みを考えると、瑕疵に関しては委託契約の中では明確に管理組合側に立って支援するようには明記されていないはずですし、管理業者も系列デベロッパーであっても積極的な対応行動を起こすことはありません。理由は管理業者にとってのお客様が管理組合以外にもあるからです。このことによって、管理組合から見ると頼りになる存在か否かの点で信頼関係にまで発展してゆきます。 

次に管理組合と管理業者の信頼関係が破綻する要因として、日常の管理に対する不満。会計報告が遅い。中身が間違っている。委託費に対して業務の質が劣る。依頼したことに対し了解したにもかかわらず対応が遅い、もしくは対応しない。などなどです。

これらの日常的な不満に改善が見られないうえに、委託業務に定められていないことに口を挟む。

そして不適切な設備などを管理組合に奨める。修繕工事に業者推薦を行う。 

これらのことが本当に有益であれば管理組合から感謝されるのだろうが、逆の事態になるとそれまでの不満が頂点に達し、管理業者変更にまで到るのです。

折角初期の縁を頂いたのに、企業としてどのように考えているのか不思議でなりません。 

ここまで一方的に管理業者のことを述べてきましたが、客観的な立場から見ると、管理業者のペースとなるのは、管理組合側にも大きな責があるといっても差し支えないかもしれません。

でも、管理組合が専門性の高い分野について無知だから、といって “主客転倒”のような事態になることは好ましくないと思います。 

以前確か、マンション管理センターの方がセミナーで、「管理委託契約書にないことを管理業者が言い出したら気を付けて下さい」と言われたことがありました。

なぜ国土交通省が幾度となく「マンション管理の適正化法」や「標準管理委託契約書・標準管理規約」などの更改を行なわなければならないのか、このことを考えてみると、マンションに関する事が未だ未整備であることと、管理業界における一部の業者の体質が問題視されていると言われてもやむをえない状況です。 

「自分たちのマンションは自分たちで守る」。このことは法的にも規約上でも明記されているはずですが、それを熟読して適性に運営することが管理業者のペースから、自立した管理組合であればある程自分達のマンションの魅力に磨きがかかるのです。 

管理組合にとって、管理業者依存症からの脱却こそがスタートラインです。スタートを切ることによって、「マンションを良くしよう」へと発展し、この関係こそ双方にとってすばらしい絆を共有できるのではないのでしょうか。

お付き合いではなく良好な契約関係には、必ず内在されている緊張感が必要です。スタートを切ることによって、管理業者と適切な緊張関係が育まれ、そのことによって「マンションをもっと良くしよう」へと発展するのではと思います。

この関係こそ双方にとってすばらしい絆を共有でき、マンションがある限りのお付き合いが出来るのではないのかなと思います。

 

 

 

「親しき仲にも礼儀あり」

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