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現在松江市内でマンションの大規模修繕工事のコンサルタントのお手伝いをさせて頂いています。

昨日の午前中は、松江市内2件目のお手伝いの契約のお話のために出向いて行きました。その後、午後には別のマンションの方よりご相談があったのでお伺いし、夕方岡山に帰ってきました。

甚だ失礼なことですが、最近近県各地でのお手伝いが多くなったので、他県の県民性はどうなのだろうと気になるので、ネットでダウンロードしたりして「ふんふん」とかつぶやいているところです。ネット情報などでひとくくりに人となりを論じることには無理があるでしょう。これまでで感じた島根県の方の印象はとあえて言えば、熱心・親切・礼節でしょうか。もちろんお手伝い(仕事)の関係で香川県の丸亀市の方や広島県の広島市の方とも親しくさせて頂いています。

どちらの方とも共通していることは、頼む側の責任をきちんと立ち位置として明確にされていることです。つまりマンション問題に限らず、何事でも本当に自分たちの利益を守ってくれる味方を選ぶことが最初の責任なのでしょう。

一方的な意見でしたが、先方だって岡山県人をどのように感じているのだろうといった点に思いを至らすことも必要でしょう。

 

帰り道での大山の様子です。

山頂には冠雪、ふもとでは終わりかけた紅葉です。岡山と違って松江市内の空気は冷たかったです。

担当スタッフは当分2年ほどは松江市に出向いて行きます。

IMG_6681車窓から

長年設計監理の仕事をさせて頂いてきましたが、マンションの管理組合様より感謝状を頂くことはありませんでした。

感謝状と言えば市町村の業務では過去に多数の感謝状を頂いてきました。特に印象に残ったのは県北の木材産地の町より木製の感謝状を頂いたことです。

この度のことは突然で、感謝状を頂けるとお聞きし大変びっくりし、そして大変なご評価を頂き本当にありがたいことだと感激しているところです。

現在多くの管理組合様より大規模修繕工事の引き合いを頂いています。この度の感謝状を糧に管理組合の皆様にもっと喜んでいただける様なお手伝いを続けたいと思います。

アルファステイツ中庄駅前管理組合の皆様、そして工事関係者の皆様大変ありがとうございました。

感謝状

 

人材不足

今建設業界が大変。杭のデータ偽装とは関係ない。

「コンクリートから人へ」が影響したのか、はたまた団塊の世代が多くリタイヤしたのか、その原因は分からない。

建設業法では施工する現場に応じて主任技術者又は監理技術者を配置し、施工状況の管理・監督をしなければならないと定められています。規定では請負金額の大小、元請・下請けに関わらず主任技術者を置かなければならない。また請負金額の合計が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)以上の場合には監理技術者を置かなければならないとなっている。

つまり小規模であっても資格を持った建設技術をもった現場監督が必要となるのです。工事施工会社では仕事の引き合いがあっても、現場を担当させる技術者がいない。

このような状況は全国的な状況のようであり、発注者側としても工事はどこでもいつでも引き受けてもらえる。あるいは工期も要望通りやってもらえると考えるのは無理となりそうです。

現実的な対応として、先方の要望も考慮してお願いするなどしないことには、どこの工事会社からも請け負ってもらえないかもしれない。

建設業界の人手不足の一端でした。

給排水管の取替え

マンションなどの大規模修繕工事に際し、設備の事を論じる人は多くありません。

建築はしっかりしていても、設備に不具合が発生すれば直ちに生活に支障が起きます。電気はもちろん水道や排水関係の設備と配管類です。

私たちは大規模修繕工事にあたり、建物の劣化とその原因、そして修繕方法を考慮しながら調査を行います。そして建物に付帯している様々な設備にも目配せを行います。

その中で給排水管については、管の材質をまず確認し、水道管などは各戸の水道メーター以降の部分を抜き取ります。そして抜き取った水道管を輪切りにして目視できる状態とします。

この水道管の抜き取り調査は、将来再びサンプリングした水道管との対比で、時間経過でどの程度劣化が進行しているのかを判断できる材料となります。当然配管の取替え工法か延命工法かを判断する手掛かりにもなります。

仮に取替え工法が必要となった場合、一定程度の年数を要して十分な検証のもとに取り掛かるべきです。

「私の家は昨年リフォームしたばかりなのにまた壁の撤去をしなければならないのか」といったようなことも想定されるからです。

給排水管の取替え工事は共用部だけに留まりません。専有部にまで影響が及ぶからです。

このように考えると大規模修繕工事では、屋上防水や外壁塗装の工事は中学生レベルだとすれば、給排水管の取替工事ともなると大学生レベルくらいの例えが想像できるでしょう。

もちろん取替工事を判断するには、日常の保守を行っている業者さんの意見も参考として重要となります。

抜管画像 036抜き取り下給水管

横浜のマンションの基礎杭の打ち込みデータの偽装事件が発覚した。建築業界の信頼を根底から揺るがす大事件に発展している。旭化成建材一社の問題だけではなく、業界全体の体質的な問題に発展しかねない事態となっている。

報道によると杭工事を施工した旭化成建材が大々的にクローズアップされているが、マンションの販売会社ならびに工事をした元請会社にはどのような責任があるのかはあまり表面化していないのが不思議である。

建築工事には前段階の書類審査があり、設計図書ならびに関連する書類審査で許可を得、工事が始まると設計通り(許可審査の図書通り)現場ではチェックするのが監理者である。ところが設計者・監理者は元請工事会社内のスタッフであるがために、第三者的な立場でチェックできない仕組みとなっている。

報道などでは、データの改ざん原因は。「現場での杭の長さなどの変更を行うと工期が間に合わない」といった点が協調されているが、もちろんそのことも一つの要因であろうが、旭化成建材は自らのお客様は直接契約している会社であり、そのもっと先にある消費者が本来のお客様であるといった視点が欠けていたように思われる。

ここは建築生産における品質確保の点から、監理者チェックをどのようにして機能させるかを真剣に考えなければ再度同様な事件が生ずる可能性がある。アメリカのようなインスペクター制度を導入すれば根本的な問題は解消されると思われるが、そのためには施工現場できちんと監理できる建築士など専門家の資質や能力がポイントとなる。

業界のとある人がくしくも言ったことがある。「設計施工は泥棒に金庫番」

建築生産の過程で建て主や施工業者から完全に独立したシステムを導入できるのはまだまだ先の話かもしれない。

マンションの場合コントロールセンターとなるのは理事会でしょう。

管理組合の方の話で「管理会社が議事録を正確に書かない、都合の悪いことは書かない、勝手に直した」などなど耳にしますが、本来規約の定めでは理事会が作成することになっているのです。管理会社は会議にオブザーバーの立場で出席し、会議の補佐をするのが仕事です。

管理会社が作った議事録の案を、理事長ならびに署名者が確認し、修正が必要であればその部分に対し指示を行い正式な議事録としなければならないのです。

ところが多くの管理組合では、管理会社が議事録を作るものだと錯覚している節がある。ここに多くの問題点があるような気がしている。議事録のノーチェックに問題ありです。

議事録は大変重要な文書であり、決定した事項には高い拘束力があり、第三者に対しても事実を示す根拠となるものである。

一事が万事、管理組合の運営(事業とお金の支払等)には、理事会の力量が問われ続けているのです。理事長(理事)の最大の役割は、マンションの資産と建物の維持保全なのです。そのために必要となるのが理事会で総会の議題を検討し、総会では権利者に対し議案説明を行い、賛否を確認するのです。そして賛成された事項については、理事会は執行者として総会の議決内の事業を執行する責任も生ずるのです。

このように考えてくると、マンションのコントロールセンターは理事会そのものなのです。したがってここが管理会社などの意向を色濃く反映するようでは、マンションを乗っ取られたに等しい状態と言われても仕方がありません。

「無関心はだめですよ、自立した管理運営を行ってください」と言っても、この辺りの事を理解しないと、お題目に終わってしまう。「管理組合が主体的に」を考えるなら、理事会で情報を収集し、自ら考えて判断し、そして行動することなのでしょう。

これからの時代、考えたくもないがマンションに格差が生まれてくることを懸念する。だから基礎的な知識を習得し、管理会社の言いなりにならない知識を身につけて頂きたい。そのためには基本となる管理規約を熟読すれば、理事・監事の役割も明確に示されている。

監事の力

多くの管理組合の方からご相談を受けるが、管理規約の理解不足によるものが多数です。

管理規約には、理事・理事会・総会などきめ細かく規定されていて、新米理事とて規約を熟読し、規約通りの運営を行えば問題はないのですが、なかなか理解していらっしゃる方は少ないようです。

そのような状況下にあっては管理会社まかせの運営となってしまい。管理会社とて放置すれば物事が前に進まないため、やむなく先頭に立っているのかもしれません。

ここで原則を今一度整理してみましょう。理事は定期総会において規約に定めた人数を選任し承認を得ます。※輪番制(規約に定めなし)であっても、理事選考委員をあらかじめ決めておいて、理事候補を理事選考委員長より発表してもOK。

選任された理事は総会を一時中断し第一回目の理事会を開会します。目的は理事長の互選です。理事会で新しく理事長が決まると、総会を再開し理事長ならびに担当理事を発表し総会に報告します。これらの一連の議事進行は、議長の手腕で進められます。

よく理事長と議長の役割を混同しているケースも見かけます。理事長は執行側なので総会においては議案の説明を行い区分所有者の意見を聴く立場となります。もちろん理事も同様です。議長は会議を主催し、関係者の意見を等しく聴き出し、適当なタイミングで賛否数の確認を行い、結論を導きだします。

理事長はマンションと資産の管理が大きな役目です。理事会を議長として取りまとめ、総会で決められた範囲で業務を執行します。

総会の議案作成も理事会の役目です。つまり総会に諮る審議事項を理事会が作成し、区分所有者の賛同を得るのです。よく「管理会社が」ということを耳にしますが、管理会社はマンションの管理運営においては部外者です。立ち位置は管理組合を支援する立場となります。理事会・総会の議事録作成についても、議事録(案)を作っても、理事会の場でよく吟味し、必要に応じて補正させる必要があります。

これら一連の理事会の役割を適正に行っているのかどうかをチェックするのが監事の役割です。したがって監事は理事会のお目付け役であり、理事と同一視できる立場ではないのです。ましてやお飾り的な立場でもありません。規約上監事には強力な権限を与えられているのです。理事会・総会の招集権限や会計の監査権限です。だから総会で業務と会計の監査報告を行うのです。

残念ながら理事会に対し、監事としての意見を述べた議事録も見かけたこともありませんし、毎月の会計報告にも立ち会っている監事の方は少数です。一般の会社であれば外部の人が取締役会や会計の監査を行っている場合がありますが、マンションの場合は同じ居住者ということもあってか、厳しい監査の状況ではないようです。でも法的にはいったん何か起きれば社会的な責任も大きいのです。

多くの管理組合の役員の皆さんとお話しする機会があり、管理会社への不満・理事長の独断専行の不満などを耳にしますが、よく考えてみれば直接的にせよ間接的にせよ自分たちが選んだ相手であることには変わりはありません。つまり任された相手の非難だけではなく、相手を選んだ自分たちにも責任があるということです。このようなことが原因で混乱になることは避けたいものです。

ではどのようにしたら良いのだろうかと考えると、少なくとも役員になった方は、多少の頑張りが必要でしょう。マンションの管理の仕組みはどのようになっているのかを理解する必要があります。例えば理事長はどのような手続きで選出され、どのような責任があるのか。理事は、又は監事の役割は何なんだろうか。更には理事会・総会の進め方はどのような点に気配りが必要なのか。そして会議の記録(議事録)の重要性とは。これらの点は一般的には管理規約に定められていることなのです。理事や理事長(議長)になったら、管理規約の中身を理解し、理事会などの会議の場では規約を手元において、時には議事を中断してでも規約を確認すべきでしょう。

このような初歩的な事に興味を持つことか大切だと思われる。役員の皆さんがこれらの点を管理業者に丸投げすると、管理業者依存症に陥り、マンションの財産管理を他人にすべて委ねてしまうことになりかねません。

総会の議案作成は理事会です。そして議案の確認と整備は管理業者ではなく理事会の務めです。定期総会の議案は1年に一度の事業計画と予算を決定する重要な会議です。この場で決まったことは理事会が執行する責任を負うこととなります。

監事は理事会とは全く独立した立場になるのですが、そもそも監事になっても自らの役割をしっかり理解している人が少ないことも現実です。監事は会計の監査と理事会の監査が主たる役割です。そのためには毎月行わなければならない会計報告と業務報告の会議には出席して意見を述べるべきだと思います。

マンションの基礎的な運営方法や考え方を学びましょう。その場として建診協中国・四国支部は各地で勉強会を行っています。勉強会で使用する資料のもっとも重要な部分は国土交通省からも提示されています。勉強会の実施日時は建診協のページでご確認ください。また国土交通省のページもお知らせしておきます。

管理組合の役員になったら、規約に定めた通りの運営を行うことが務めとなります。そのことによって自分たちのマンションの自立した運営が可能となり、無用な混乱を避けマンションの価値を維持してゆける礎となります。

建 診 協:http://www.adoc.or.jp/

国土交通省:http://www.cgr.mlit.go.jp/chiki/kensei/kensetu/pdf/itakushiori_5.pdf

大規模修繕工事に際し、真に管理組合の味方として支援してくれるコンサルが必要です。コンサルタントの対象としては、管理会社・設計事務所などが挙げられるが、味方の選定を安易に行う管理組合の多さに驚く。

よくあるケースとして、表面的には管理会社が紹介した設計事務所が、パートナーとしてコンサル契約を行い調査診断・設計監理を行うわけですが、この体制には大きな問題があります。

紹介された設計事務所にとって一義的には管理組合ではなく管理会社がお客様となります。管理会社には系列の大規模修繕工事を主としている建設会社がある場合があります。

このように見てみると、管理会社を頂点とした設計事務所ならびに工事会社の三位一体の動きが感じられます。つまり実態は、競争原理の働かない設計施工方式になってしまうのです。

このようなケースを考慮してコンサルタント(パートナー)選びを行うのであれば、管理組合の役員の方は、多少の汗をかいても管理組合にとって役に立つ(害のない)、そしてパートナーとして相応しいのかを、主体的に調べて決めることが大切です。もう一度考えて欲しい。パートナーの選定は施工業者の選定と密接に関係していることを。

大規模修繕工事は、管理組合・設計者・施工業者の三位一体が必要ですが、まず味方選びについて、透明性に欠ける裏の三位一体にも気を付けましょう。裏の三位一体とは管理組合そっちのけで「カヤの外」にしてしまい、三位一体の談合を是認した結果となるからです。

都市部のマンションでは管理会社主導型の大規模修繕工事は少なくなっているようです。

大規模修繕は80年代にはマンション管理会社による設計施工方式としてス タートしたが、90年代頃から徐々に設計監理方式が増加してきた。その背景には、「管理組合は合意形成」ということがあり、工事のあり方に競争と透明性が求められてきた。

参考までに、山陽新聞の2011年11月29日付記事「談合を前提に対応」ならびに2011年12月6日付記事「コンサル慎重に」を一読されることもお勧めします。

 

本屋さんで見つけた本は、『マンションの理事になったらこの一冊』です。

この本は大変わかりやすく書かれた一冊で、おそらく新米理事の方でもマンション管理において、理事としてやらなければならないことなどが大変わかりやすく書かれている。

例えば、理事会ならびに総会の議事の進め方、あいさつ事例なども具体的に示されている。更に管理会社との関係をどのように保てばよいかも書かれていて、本当に読みやすい一冊です。

また、マンションのコミュニティ強化のための行事例・防災に備えたマニュアルも書かれていて、新米理事にとって強い味方となる一冊だと思われる。

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