会議の議事を記録する議事録は公的な機関であれ、一般の会議でも作成されるものです。
マンションの管理運営においても規約で議事録の作成、保管等が規定されています。議事録は審議事項の可否などの結論が明確化していなければなりません。具体的には総会や理事会の議事録です。そして議事録は区分所有者等に開示できるものでなければなりません。もちろん個人情報などの取り扱いは慎重であるべきです。
いくつかのマンションの理事会や総会の様子を見聞きする機会がありますが、理事会がダメな管理組合の場合は管理会社主導の議案や議事の進行が横行している場合があります。
一方しっかりした管理組合の場合だと、議長(理事長)がまず書記の方を指名します。続いて議事録作成人と署名人を指名します。ここで管理会社の役割だが、書記の人が理事会等で決した事項をホワイトボードに書き込んだ内容を、正確に議事録に移し込んでいるのを見たことがあります。
標準管理委託契約書によると、管理会社の役割で基幹業務以外の管理業務として理事会や総会の議事録案の作成が明記されています。議事録作成ではなく議事録作成” 案”の作成です。このことは議事録の作成は管理組合による作成義務を示しているのです。
先日のマンション勉強会で、「管理会社が議事録を正しく作成していない。肝心な部分を削除している」とのお話がありました。具体的には駐車場収入を管理費会計から修繕積立金会計に繰り入れることを決議したにもかかわらず、この事項が削除されていたというものでした。そこで、管理会社から見ると管理費会計の縮小は委託金額の削減要求が管理組合から出されることを考えて削除したものと想像されます。このことをお話しされた方に解説したところずいぶん納得されたようです。
議事録の作成義務は管理組合にあり、管理会社は総会ならびに理事会の支援業務として規定されているのであって、議事録” 案”を作成するところまでです。だったら理事会は議事録”案”を管理会社からデータで受取り、自分たちで正確に編集して完結させるといった工夫が必要でしょう。
議事録は公文書的な性格を持つので、誤った議事録に署名してしまうとそれが正しい議事記録となります。マンションの自立を考えると、議事録の作成は重要なことなので、理事会など自分たちで最後は書面の確認をすることが必要です。
マンションに限らず全ての建物は新築直後から劣化が始まります。
よく建物の調査の話が出てきますが、調査と一言でいっても目的によって全く内容が異なります。
①大規模修繕工事を目的とする調査
②長期修繕計画の見直しや作成を目的とする調査
③建物の劣化状態を把握するための調査
大きく分けて以上の3パターンがあると思います。①の大規模修繕工事を目的とする調査の場合は、その後の工事を想定して行う調査だから、工事に費用がいくらかかるか金額算出のために必要となる劣化程度と大きさ(数量)を求めなければなりません。したがって②と③は①と比較すると軽度な調査となります。
診断は修繕を実施するに際し、劣化の原因を特定し、それに対し適切な修繕方法を導きだすための判定です。誤った修繕方法を行うと、再び同様もしくはそれ以上の不具合が生じることだって考えられます。したがって同じ調査でも3パターンによって内容が大きく異なります。大規模修繕工事の実施時期を検討する調査は、③の調査で十分です。
調査会社に調査を依頼しその報告書を見たことがありますが、一言でいえば目的のはっきりしない調査のため、大規模修繕工事のためには全く役に立たない資料だったことを思い出します。
調査の後その結果を管理組合の皆さんに報告することがよくあります。その際には専門的な内容がびっしりの資料ではわかりにくいので、要約した資料で説明する場合があります。場合によれば説明会の後、屋上など実際の建物を見ながら報告内容を説明すればよりよく理解をして頂けます。
マンションの管理組合役員の方からよく出てくる質問に、「大規模修繕の時期はいつが適当なのだろうか」です。
結論から言いますと、「大規模修繕の時期は建物の劣化状態を正しく把握して決めるものである」というのが正しい答えでしょう。劣化状態を正しく把握するためには、正しい劣化調査と合理的な判断が必要となります。この際の調査は外見上の劣化を調べることで十分です。
このように調査を行って判断すればよいのだが、ここで難しいテーマがある場合があります。それは外壁タイルの浮きを伴う剥落の危険性の問題です。屋上防水などは足場を架設しなくてもある程度の補修で劣化を防止することができます。だから大規模修繕工事とは切り離して屋上防水の修繕工事を行うことは珍しくありません。
外壁が汚れている。シーリング材が劣化している。鉄部の塗装が劣化している。大概これらの劣化はまだ致命的な損傷を与えるレベルに至っていないのが一般的なように感じます。
ところがタイルの剥落の危険性は看過できません。したがって足場を架設すれば大がかりな出費が伴います。そこで考えたのが、多少費用が掛かっても外壁タイルの浮き状態をより詳細に把握する目的で、ブランコ調査を行い(階数にも限界はある)、調査の結果、浮きの程度が少ない場合の修繕工事は簡易なゴンドラを使用し高所作業を行うことがベターな選択ではないだろうかと思います。工法としては特殊なピンで固定します。このような考え方は、大規模修繕工事に要する修繕積立金の不足を考慮した場合です。
仮に浮きの程度が方範囲にわたっている場合は、仮設足場を組み立てた大規模修繕工事を行うべきでしょう。当然十分な費用が確保されていれば、ベストの選択としてすべての部位についての大規模修繕が望ましいのは言うまでもありません。
大規模修繕工事の実施時期について、工事関係者は早急に実施すべきだと主張する場合がありますが、すべてのマンションで修繕積立金の残高が十分であると言えない状況であれば、なおさら現実対応したより良い選択しかないのが実情です。
大規模修繕の時期などについては、工事に携わらない人、管理組合の立場に立てる専門家(マンションに詳しい一級建築士など)に相談されることをお勧めします。
更に検討すべきは、調査の結果を理事会と総会に諮り、役員の変更があっても調査結果に添った大規模修繕工事の計画を維持すべきでしょう。そして修繕委員会の活動も継続して行うべきでしょう。
時計や家電などの工業製品だったらブランド力を信じて購入してもいいだろうと思いますが、建設工事の場合は工業製品と異なり人力で作り上げる部分が多く、作り手の側により出来具合が異なります。
「良くテレビの宣伝によく出てくる大企業だから、高品質でアフターサービスも間違いなくやってくれるに違いない」といった認識をお持ちの方は多いと思います。でも実際の現場を経験してきた者にとると、本当にそうかなという事例に事欠きません。
一部の工事業者は“やり逃げ”や、筋の通らない“言い逃れ”をよく言います。逆の立場で考えてみると、継続的に発注してくれるお客は大事にし、スポット的な仕事、しかも二度と受注の可能性のない庶民の仕事に力点は入れられない。これが実態かもしれませんが、本当はこれではダメなのでしょう。残念ながらブランド力をもった工事会社であっても、現実のアフターフォローの対応には満足できないのが実感です。
それでは我々庶民はブランド力を優先するのか、もしくは地域密着の企業を、そして何事も人がやることですから、その人の能力とそれをバックアップする体制を持った企業かがお付き合いをするポイントとなりそうです。
企業も利益を確保しなければ継続的に活動を維持することができなのはわかりますが、適正なサービスと説明責任を果たし、客先からの“納得”を得る活動にも欠けていることに直面することが多くあります。企業ブランドが褪せます。
マンションは自分たち区分所有者のもので、自分たちで守るという意識を持たないと、シロアリのごとく食いつぶされる。
このことは意識の高い区分所有者やマスメディアの記事によく出てくる言葉です。管理会社がマンションを我が物顔で牛耳っている。マンションに暮らすことは管理業者の支配下に置かれることだと感じている居住者の方は多くいるはずです。誰かが真面なことを言えば、阻害される・意見を言ったものが悪者扱いにされる。無知に付け込んで横暴で卑劣な行為をする。例えば怪文書や理事長あての文書の開封などです。
一体管理会社の業務とは何でしょう?とにかく理事会を乗っ取られるとマンションを乗っ取られるに等しいのです。自由闊達な理事会が行われているマンションにはシロアリは住みつきにくいのです。管理会社依存症を治すのは管理組合です。
もう一度管理委託契約書を読み直して、契約事項をきちんと履行しているのか、契約事項以外の行為を行っているのかよく見定める必要があります。
もちろんマンションを良くしようと頑張っている管理会社もあります。
マンションの着工戸数が頭打ちとなり市場の拡大が見込めない今こそ、本来管理組合に対し、きちんとした管理業務サービスを行っている管理会社が勝ち残ってゆくのでしょう。
建築士の資格種別は、一級建築士・二級建築士・木造建築士と別れています。一級建築士は国家資格でそれ以外は都道府県知事資格です。そして資格により建物の規模と構造により設計できる範囲が定められているが、そのなかで一級建築士には無制限と言ってよく、大規模な建築物の設計監理が行える資格です。不特定の人が使用する劇場・百貨店・病院など特殊建築物といわれる分野の設計監理も含まれています。
一級建築士ができる業務の内容は、設計監理に限らず建物が建った後の調査診断・定期報告・耐震診断や耐震補強設計など新築時の仕事に限りません。当然設備を含む建物全般に対しての業務です。
意外に知られていないのが宅地開発、いわゆる土木系の業務です。大規模な宅地開発の設計にも資格が必要となります。都市計画法施工細則では1ヘクタール以上の設計者の資格として、一級建築士の資格を有する者で、宅地開発に関する技術に関して二年以上の実務の経験を有するものと規定があり一級建築士も含まれているのです。
このように一級建築士の活躍の場は広く、何も建築の設計だけに限りません。そのためには広く知識を吸収することに迫られます。建築基準法・消防法・建設業法・都市計画法・宅地造成規制法・森林法・河川法・道路法、挙げればきりがありません。でもこれだけでは不十分です。社会の変化や価値の動向にも敏感でなければなりません。もちろん建設コストにも敏感でなくてはなりません。
建築士も業務領域を自ら限定せず、業務の幅を広げてゆけば社会に役立てる場面は限りなくあると思います。
小生も大規模な宅地開発の設計の経験があり、現在も進行中のプロジェクトがあります。宅地開発の多くは建物を建設するために行うものだから、一級建築士が事業主の窓口として業務指揮することが合理的だと思われる。
昔から「お役所仕事」という言葉があります。
これは仕事に心が伴っていなく、おざなりの仕事のことを指して、決して良いイメージではありません。これも法の番人としての仕事ですからやむを得ないことかもしれません。つまり役所というところは法律や条例などに従って意思判断を行い、担当者個人の見解での判断や指導ができないといった大原則があるからです。当然お役所は間違いを犯してもいけないのだからです。
お役所からの仕事はどうしても手続き重視に片寄りがちで、一方民間発注の仕事は結果を第一として求める。このことに大きな違いがあるように思えます。
私たちの仕事で、設計監理者としての立場を貫こうとしても、工事請負業者の選択権は発注者である行政側にあり、受注者側に能力の低い現場担当者ならびに工事会社の社風の影響により大きな労力の差が出てきます。
マンションや民間企業であれば設計監理者の意見も反映させながら、発注者としての責任により状況に応じた工事業者の選定となるのです。当然のことながらひとつのプロジェクトを遂行させるためには、それぞれの役割と責任で、立場を超えて協力し合って完成させることが求められるのは当然のことです。
公共工事の原資は、国民・市民の血税で賄われているのだから、公平公正の原則を貫いた執行が求められるのは当然だが、能力不足や不適格と思われる業者への対応に疑問が残る。しかしこの辺りの選別はかなり困難と思われる。
今年は自然災害が多く発生しました。
広島豪雨災害、御岳山噴火など自然の驚異をまざまざと思い返させてくれました。
台風は先週の18号に続き、今週も19号が週末にやってきました。19号は先週の18号と似たようなコースを辿って日本列島を縦断中です。
台風19号と言えば、20年ほど前に岡山でも多くの住宅の屋根瓦が吹き飛ばされる災害が発生しました。
台風が来れば、建築現場では風による物資の飛散や突風による落下などの注意を払わなければなりません。もちろん作業は中止です。昨日見かけた四国の工事現場の足場のシートは少なくとも上の方は折りたたんで支柱にくくりつけていました。当然大型台風の風による足場の倒壊を防止するためです。
このように災害が発生することを予見して様々なことにも気配りが必要で、現場を預かる人は工事を工期内に完成させることと、発注者サイドへの対応、品質の管理、そしてこの度のような台風に対する事前対応など苦労が絶えないと思います。
一度台風が来ると足場シートの折り畳みと再度貼り直す手間など数万円単位の費用が掛かります。これも元請工事会社の負担となりますから、今年のように度々台風に見舞われると大きな費用負担を要することとなるのです。
全ての工事現現場の責任者や関係者は夜を徹して待機しているはずです。このようなことを考えると現場関係の方々に頭が下がる思いです。
平成13年から13年間にわたりマンションン対象の業務を続けてきたが、2・3年位前から管理組合の方からの問い合わせが増えてきました。
問合せの内容は管理会社に対する不信、管理組合役員への不満、無関心、大規模修繕への対応方法などです。特に大規模修繕に関する件が最近増えました。その背景には地方都市のマンションも大規模修繕工事が間近に控えているためでしょう。
大規模修繕に関するお問合せの具体的な例として、管理会社主導で進みかけたのだが、管理組合の方が、途中で「このままでは?」との気づきから建診協の電話が鳴ります。
もう一つの例としては、「大規模修繕に際し何から手を付けたらよいのか分からない」です。二つのケースとも、「理事会に専門家を呼んで一度話を聞いてみよう」という風にお願いをしています。理事会で決定し、私を呼ぶことになりましたら出向くことにしています。
訪問の際によくお話しすることは、何をするにしても「管理組合、すなわちマンションの権利者の意思として主体的な判断に基づいて進めるべきでしょう」「そのためには管理組合にとって役に立つ味方をそばに置くべきでしょう」とお話しします。
マンション運営は、民主的な手続きをベースとしなければなりませんが、ここという時はリーダーシップの発揮も必要となります。
大規模修繕に限らず世の中“人”がすることです。頼む方もしっかりした考えを持っていなければ、良い味方も付かないことを役員共通の認識とすべきでしょう。
昨日(9月21日)、島根県松江市に行ってきました。目的は管理組合様からのご要請で、居住者様を対象とした勉強会です。
32戸のマンションなのだが、勉強会に参加された方が二十数名で、まずこの参加熱意に驚かされました。マンションの大半が無関心を嘆かれているのが現実の中で。
ご訪問したマンションの様子を拝見すると、やはり和気あいあいとした理事会の活発な活動です。特に小規模のマンションの場合、役員を経験する機会も増え、それにつれリーダーシップをきちんと発揮される方も現れるからでしょう。
勉強会の後30分ほど、理事会や修繕委員会の方が十数名残られ、小生を交えた質疑応答ならびに意見交換が行われました。
おそらくこのような活動が続く限り、こちらのマンションは暮らしやすいマンションであり続けるのだろうと思います。
最近管理組合からお声掛り頂いて訪問する機会が増えました。それも岡山にとどまらず、四国や広島、山陰です。常々管理組合の方にお願いしているのは、理事会で相談のうえ「外部の専門家を呼んでみよう」といった合意がなされたら、出向いて行くことをお伝えしています。ぜひ小生を呼びつける際には、理事会の手続きをお願いいたします。初回の1回は無料手弁当です。