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契約書について

一般の方が契約書を取り交わすことはあまりないことかもしれません。でも私たちの生活の中では契約書に代わる、取扱い説明書や注意事項を記した文書には多く振れる機会は多くあると思います。

建築の生産現場に携わる私たちは、契約書を取り交わすことは日常の事です。委託契約書・工事請負契約書などです。現場の監理に使用する設計図書に加え、契約書や現場説明書なども一冊に編刷して監理業務にあたります。

時々工事施工者の現場担当者(現場代理人)の方が、契約事項を見落とすことがあるので、この辺りにも施工品質のチェックと合わせて気を付けなければならないのです。

マンションにおいては、管理組合と管理業者の間で、管理委託契約書を取り交わします。当然双方の合意事項を文書化したのが、契約書であり契約事項の履行義務がお互いにあります。だから契約事項が適正に履行されているか否かのチェックを、当事者同士で確認することは大変重要なことなのです。

残念ながらマンションの場合によくお聞きする話が、管理業者の不満です。契約書に基づいて権利義務を履行することが定められています。契約事項に忠実であることが大原則となります。そこには緊張感があって然るべきでしょう。

管理業者との関係は、「お付き合いではなく取引である」といった認識が希薄なような気がします。このことを認識していれば、契約事項にない提案などの適否は気付かれるはずです。

建設業界の今

政府は国土強靭化政策として、建設インフラを強化しようと検討しているものの、現場では技術者や現場で施工する職人さんが不足してなかなか思うように進まない状況となっている。

そこで建設関連の人件費の適正化も検討事項となっているが、これも市場の実勢に馴染むまでには至っていない。併せて資材の高騰もあり建設業界の利益確保の点も改善されてはいないようである。

リーマンショック以降と人口減少は市場の縮小を予測させ、各企業はなかなか積極的に設備投資や人材確保を進めるには慎重になっている。つまりやらなければならない事業(仕事)はたくさんあるのだが、いつまた何時リーマンショックのような経済変動が起こるとも限らないのでは、安心して未来への備えができない。これが委縮している今の状況かなと思われる。

このような状況ということで、マンションの大規模修繕工事にもその影響は出てきている。例えば現場の所長がいない、職人がいない。だから工事の着工時期を示してもその通りに手配ができない。やがては工事コストが高騰するといったことまで生じかねない。

建設業界も混乱期には必ず全く新しい発想の経営者が登場するものである。過去を否定し、現状に疑問を抱くことから、より時代にマッチしたやり方が見えてくるのかもしれない、そのためには未来に挑戦する勇気こそが最大の突破力となるのでしょう。

マンションの管理組合の役員にとって大規模修繕工事は大きな負担となります。通常の管理運営であればその負担はさほどではないでしょうが、大規模修繕は人生で何度も経験するものではありません。

少し大規模修繕の事を考えてみますと、準備に始まりそして終わりまでの期間が任期中で片付くものではなく長期にわたることです。そして居住者の合意形成に神経を使うことでしょう。また工事中のイメージが湧かないこともあって、修繕委員会・理事会・総会の進め方、さらには施工業者をどのようにして決定すればいいのか、工事の手抜きは心配ないかなどなど。心配事は尽きません。

私たちはマンションの大規模修繕工事に限らず、社会生活を送るうえで、節目節目では誰を味方に付けるかで行く末が決まるといっても過言ではないと思います。

大規模修繕でも経験が豊富で優秀な人が味方に付けば、役員の方の負担と責任はかなり緩和されると思います。工事全般のすべての手順を示し、管理組合として意思決定しなければならない事項とタイミングなどの理解です。そして工事の内容と予算金額の調整、更には施工業者選定と施工品質の審査。工事に付帯する仮の駐車場の確保など、すべての道筋の案内をやってくれるはずです。

ここで味方の見つけ方が問われます。先ず会社を基準に選ぶのか人を基準に選ぶかです。よくあるのが企業イメージとかブランドです。私たちの経験では、大規模修繕に限らず大概のことは会社ではなく人の能力で行うものです。だから担当する人の力量を図ることが先決でしょう。他方、所属する会社の社会に向けての姿勢にも目を向ける必要もあります。

更には味方に委託する金額が高いか安いかです。この高い安いは誰でもわかる基準です。ここで大切なのは、人の能力を活用して管理組合の負担を減らしながら、より高品質の大規模修繕工事を実現させるためには、何が必要で、どんなことに気を付けなければならないかがお分かりいただけると思います。「委託金額が比較して安いから、安い方に決めます」、このような安易な考えでは、本当に失敗しない大規模修繕を望んでいるのかどうかが疑われます。安いのは安いなりの何かがあるのではないか?このような視点で考えることも必要でしょう。

やはり明確な選定基準に沿って、「この人だったら任せて大丈夫」だと選定経過と理由を、管理組合(区分所有者)に対し明確に説明できる能力が役員の方にも問われているのでしょう。任された人は当然のこと、任した発注者責任もしっかり自覚しなければならないのです。

大規模修繕工事の成否は、優れた味方の選定にかかっています。ここを間違うとマンション内のコミュニティさえも壊れてしまう危険をはらんでいます。

20日未明の大豪雨により、広島市安佐南区と北区において、死者40名、行方不明者47名の大災害が発生しました。

夜が明けた21日に広島の友人に連絡をしてみたところ、彼の住まいはまさに被災該当地でありびっくりしました。大変な被害があったのだが、幸いと言ったら申し訳ないが電話に出てくれたのでとりあえず一安心でした。

彼の話によると、当日未明の雨は家が壊れるのではないかくらいの激しい雷雨だったそうです。当然停電も生じたので周囲の状況は真っ暗なので分からなかったそうです。そして夜が明けてお家の周囲は、報道で明らかになったような状況で、避難しようにも外を歩くことさえも困難な状況に変貌していたと言っていました。

その後23日にも電話を入れたのだが、今度は電話に出てくれないので少し心配しています。

日本は地理学的にも大陸と比べて地層が若く軟弱であるといわれています。だから近年生じている異常気象による想定を超える集中豪雨がひとたび発生すると、少しの急傾斜地でも土砂災害や河川の氾濫がいつ起こるとも分からないのです。

一方地震大国とも言われていて、2011年3月11日に発生した東日本大震災でも、津波が発生し大変な被害をもたらしたのはまだ記憶に新しいことです。更には原子力発電所の事故へとつながり、その廃炉に向けての工程は困難を極めている状況です。

幸いにも小生がいる岡山は自然災害の少ない地域です。でもいついかなる時に自然の災害に見舞われるかわかりません。

各地で被災された方々にお見舞いを申し上げるとともに、一日でも早い復興を願わずにはおれません。

褒められる

社会人になって褒められることはあまりないと思います。褒められるどころかクレームの対処に疲れる。最近では○○モンスターなどといって、一方的なクレームに出くわし対処方法にほとほとくたびれるといったこともまま見受けられます。

褒められるといえば、昔は地方の役場などの仕事が完了した時点で、金一封と感謝状贈呈といったことがよくありましたが、近年ではそのようなことは一切なくなりました。

では褒められるとはどのようなことかと考えてみると、ビジネスの世界では、「いい仕事をしたね。次回も頼むよ」これが褒められることでしょう。仕事ぶりを評価して頂いて、満足していただいたからこそ、継続的に仕事の依頼がくる。このことはビジネスの世界で最も目指ざさなければならない方向だと思います。ところがその場限りの仕事と考えているのかどうかわからないが、次につながる評価を得ようとしない業者の方がいることは残念です。

マンションの大規模修繕の設計監理のことで最近うれしいことがありました。それは業務中にもかかわらず、「次回もやっていただきたい」とのお言葉でした。小生は「15年先までこの仕事をやっていないかもしれません」と申しましたら、「後継の方を育成してください」という大変うれしいお言葉でした。また別の管理組合の方からは、「ありがとうだけでは申し訳ない。何か形になるもので伝えよう」ということで、本当にありがたいお礼の印を頂きました。このような行為をして頂くことは、小生にとっての励みにもなるし、次のお客様のためにも気を引き締めて頑張ろう。そして社会にとって役に立つ仕事をしているのだなという実感も得られることです。

一般の市民の方から褒められ頼りにされている限り、ビジネスの世界においても存在してゆける糧だと思われる次第です。

耐震診断

マンションの勉強会などで、参加者から耐震診断について相談されることがあります。地震が来てもマンションが大丈夫なのだろうか? 現実、耐震補強工事ができるのか否かの問題もあります。

ここで国の耐震診断に対する政策について理解しておきましょう。平成25年に改正された「耐震改修促進法」によると、法改正のひとつとして、大規模建築物等に係る耐震診断結果の報告の義務付けがあります。対象となる建築物は、昭和56年5月31日以前に建てられた一定規模以上の幼稚園・保育園、小・中学校、老人ホーム、ホテル・旅館、美術館・図書館などです。この中で公立の幼稚園・保育園、小・中学校などは平成27年度までに100%の耐震化率を達成する目標となっています。

このたびの改正では、マンションを含む住宅や小規模建築物についても、耐震診断及び必要に応じた耐震改修の努力義務が創設されています。

耐震診断には国や各自治体からの補助制度も整備されているが、法的に義務付けられた建築物以外の耐震診断はあまり進んでいません。その理由は耐震診断、そして耐震改修工事に多額の資金が必要となるからです。

しかし法的に義務付けられたホテル・旅館などの施設では、多額の費用がかかっても耐震診断を行って、そして耐震補強工事まで進むのか、もしくは廃業するのかといった、経営的に重大な決断が迫られるのです。

「耐震改修促進法」をクリアした建築物には、「基準適合認定建築物マーク」が付与されるので、消防法の丸適マークを取得するのと同様に、これらの表示のない施設であればお客様に対するアピールもできないこととなるでしょう。

マンションの場合は、費用は別としても居住者が生活している中で実際に補強工事ができるのか、環境的な制約や技術的な制約などで補強方法は限定されます。しかし耐震改修の努力義務は存在します。

予算オーバー

先日マンション勉強会で、参加者の方から質問がありました。

大規模修繕工事に向けて手続きが進行しているのだが、「工事予定額が積立金の予算をオーバーした。どうしたらよいのか?」といった趣旨の質問でした。もちろん私たちが関与していない別のパートナーの案件です。

ご質問の回答としては、火急的な事項のものとか、その他積み残してもやむを得ない部分とか、優先順位をつけて進めるしかないでしょう。資金不足は先送りするか、一時金の負担か、借り入れを考えるかなど、対応策の方法はあまりありません。「だからパートナーと工事内容を含めその辺りをよく相談されたらいかがですか」とお答えしました。

引き続きの質問者発言が、パートナーは「すべて実施しなければいけないと言っている」でした。これには少々驚いたのです。だって資金手当ての出来ない工事など考えられないのですから。

普通の感覚を持った設計者がパートナーだったら、工事内容と予算のバランスを計りながら次のステップに進むことが当然だと考えているからです。ましてや修繕積立金の取り崩しは将来なにか必要に迫られた出費が生じることを考えると、100%の取り崩しは危険であり、私たちの場合は「80%程度にしてください」と管理組合には進言しています。

この質問にあるように、大規模修繕工事の資金手当て(予算)が足りないといった話は時々耳にします。このように予算不足に対し、管理組合の側に立って適切なアドバイスができるパートナー(設計者)を味方に付けることは、単に技術的なことだけではなく、皆さんが毎月積み立てた大切な資産を効率的で適切に活用するうえで大変重要だと思います。

あまりにも委託金額の高い安いだけでパートナーを選定している管理組合の多さに、一抹の危うさを感じます。

建物は建てた瞬間から劣化が始まります。そしてその劣化は年数とともに増してゆきます。だから日常的なメンテナンスや修繕は欠かせません。

しかし日常的に維持保全活動を行っていても、およそ10年から15年程度経過してくると、大規模な点検と修繕工事が必要となります。これが計画修繕なのです。

分譲マンションの場合は、区分所有者によって毎月毎月大規模な修繕工事に備えて資金の積み立てを行っていることは、マンションを長く使い続けるうえでは大変よくできた制度だと思います。

大規模修繕工事の時期については、建物の外壁が汚れてきた。長期修繕計画で定められている時期が来たから。などが挙げられますが、やはり建物の劣化進行状況と劣化内容によって実態に即した判断が望ましいと思います。そのためにも長期修繕計画は5年程度ごとにチェックを行い、建物の実態と計画のずれを補正してゆくことは大切なことでしょう。

そこで毎月の積立金の適正額はいったいどのくらいなのだろうか?国土交通省公表の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によれば、専有床面積当たりの修繕積立金の額は、一般的なマンションを例にとると平均値として、 ①5,000㎡未満:218円/㎡・月 ②5,000~10,000㎡:202円/㎡・月 ③10,000㎡以上:178円/㎡・月となっている。

しかし実際は平均額ほどの積立金を実施しているマンションがどれ位あるのかはわかりませんが、マンションは第1回目より2回目、2回目より3回目と修繕項目も増え工事金額も増してきます。もちろん計画の中で修繕項目が不要となる、あるいは先延ばしできるなど、計画には不確定な要素が多くあります。だからと言って長期修繕計画に、不要な項目として削除した計画には資金的なリスクを伴います。

新築分譲時には購入負担低減のために、修繕積立金の一時払いや積立額を低く抑えている傾向がみられますが、5年程度経過した時点で将来を見越した長期修繕計画の見直しは欠かせないと思います。そして修繕計画の作成は、マンションの大規模修繕を熟知した専門家(建築士)が行うことも実態との整合性を求めるうえで大切かと思われます。

長計

 

多くのマンションで計画的な修繕を行うための費用として、毎月区分所有者が修繕積立金という名目でお金を負担しています。この大規模修繕工事に対し、管理会社などから「そろそろ築後10年が経過したので具体的な大規模修繕工の準備を始めた方がいいですよ」といった話が出てきて、管理組合の役員の方も「じゃあどのように進めたらいいのだろうか?」となるのが一般的かもしれません。

ここで大規模修繕工事に限らず、誰を味方に付けるかが問題となります。

修繕積立金の性格は、区分所有者が捻出した貴重なお金が原資となる工事です。だからお金の使い方に透明性が求められるのです。この点を十分認識している人を味方に付けることが大原則となるでしょう。もちろんマンションの管理運営に精通していて、なおかつ大規模修繕工事における技術的なことや、工事中の居住者への配慮が十分できることも味方選定のポイントとなるでしょう。

なぜ優秀な味方をつけるかと言いますと、管理組合本来の主体性を維持できるからです。つまり管理組合の意思を大規模修繕工事に反映させるためです。

優れた味方の力を活かすと。

①          管理組合の体制作りから運営まで適切なサポートが得られる

②          工事に関する専門的な技術と施工手順の構築をしてもらえる

③          工事施工者の選定の事務手続きから工事に関する施工品質の審査をやってもらえる

④          管理組合役員の負担軽減と混乱が生じないように、先手先手と手を打ってくれる

⑤          全ての記録を整備して、いつでも公開できるようにしてくれる

⑥          管理組合が納得できる主体性をもった大規模修繕工事が実現できる

このように考えてくれば、どのような人が味方として適しているのかがお分かり頂けると思います。

工事を請け負わなく管理組合の立場に立てて行動できる人です。

しかし残念なのは、人を選ぶのではなく会社のブランドやお付き合いで選ぶ誤りです。大規模修繕に限らずすべては人が行うことです。その人の考え方や能力さらにはやる気、そして相性が合うかどうかも大切となります。

味方を選ぶことが安易に行われている現状を見るにつけ大規模修繕の危うさを感じる場合もあります。現に他社を味方として大規模修繕工事が終了し、その後に管理組合からの投書とか愚痴を聞かされることもあるからです。

7月6日の午後1時30分から、大規模修繕工事の勉強会を岡山県立図書館で行います。会場で詳しくお話しさせていただきます。管理組合の方のご参加を期待しています。残り10席ほどとなりました。参加希望される方はご一報ください。

大規模修繕工事って何をするの?建物をきれいにすること?

綺麗にすることが大規模修繕工事の目的ではありません。目的は建物を劣化から守ることです。この辺りのことを管理組合の皆さんと意識の共有がなされていないと、混乱のもととなる場合があります。

限られた予算の中で工事を行うのだから当然だろうと思いますが、やはり折角足場を掛けての大工事なのだから、気持ちは綺麗にしたい。

建物を守るといった点で考えると、まず、危険と思しき剥落などの個所は絶対に改修を行わなければなりません。それから漏水などの事象の現れている部分は修繕します。更にできれば、放置しておけば将来建物にダメージを生じさせる部分の未然の改修です。この三つの考え方は大変重要となります。

多くの事例を見てきましたが、何かを塗布すれば当面はきれいになります。綺麗にはなっているが、肝心の部分の補修が不十分。例えば下地補修や防水層の剥離などです。

素人の人には隠れた部分の施工品質を見抜く力はありません。ペンキを塗ることが大規模修繕工事ではないのです。塗装業者は塗装を、防水業者は防水をやりたがります。それを生業としているからと言えばそうでしょう。

建物を守るといった点でいえば、設備や付帯施設も含めたトータルで考えなければなりません。場合によれば保守点検を容易にするための改善、使い勝手の悪いところはの改良をする。このような視点がなければ綺麗にすることに捉われて肝心なことを置き忘れるかもしれません。

大規模修繕工事は保全行為の一部なのだということを認識する必要があります。「守りながら綺麗にする」。このことが求められるポリシーです。

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