長期修繕計画作成で思うこと
1. 第1 回目の大規模修繕工事を振り返って、想定工事金額算出について
(1) 1 回目の大規模修繕工事では修繕「治す」が主であって、なおかつ予算の関係で先送りした工事もある。
(2) 2 回目の工事では1 回目で行わなかったが、取り替えが必要となる工事が生ずる。
(3) 10 年先の工事費は明確な根拠を持った資料はなく、ましてや30 年先の単価までは不明
(4) 想定金額は原則工事請負金額(施工会社の見積り)を参考として単価を算出する。
(5) 建設物価 建築費指数(集合住宅 RC 造)では、2018 年1 月を100 とした場合2024年8月では133 と公表されている。
(6) 1.33 倍の工事費の上昇傾向は2024 年以降において下落することは考えにくい
(7) 資金的に余力(積立金残高)があれば、不測の事態(突発的事故・自然災害など)生じた場合には、対応力が高い。
(8) 国土交通省の「マンション修繕積立金に関するガイドライン」令和6 年6 月改定(参考資料)によれば、平均値:252 円/㎡・月であり、平成23 年4 月の資料によれば202 円㎡・月と公表されている。[上昇率:1.247 倍]
(9) 1 回目の大規模修繕工事の経過概要について
① 設計金額 108,984,555 円と報告した(出来るだけ公的に公表されている単価で算出)
② 業者見積は88,344,000 円であった
③ 最終契約金額 72.000,000 円(予算の関係で取りやめとなった工事項目多数)
④ 外壁タイルの浮きが特定部で想定上に多く追加金が発生した。
(10) 最近の事例として第一回目の工事であっても、1 ⼾当たりの金額は、よほど大きな規模か傷みが少ない・形状がシンプルかだと100 万円を切る場合があるが、大半は120 万円〜200 万円である。
(11) 経験上、大規模修繕工事にあたり資金不足となっている場合が殆んど
2. ⻑期修繕計画作成後の留意事項
(1) 計画は時とともに実態とずれてくる。
(2) 毎期の修繕積立金の残高と計画の繰越額のズレをチェックする。
(3) ⻑期修繕計画で挙げている工事でもたちまち必要か否かをチェックする。
(4) 我慢できるところは我慢し、無駄な工事をしなくお金を残す。(モノかお金か)
(5) 発注に際してはコストダウンに努める。
(6) 経年とともに修繕項目と費用がかさむ。
(7) 積立金の改定は先送りしない。
(8) 国の指針では5 年毎の見直しを推奨している。
(9) 定期総会の決算書の剰余金と修繕計画の繰越額の比較確認を行う
(10) 資金的ゆとりがあればマンションの財産価値は高いと考える。
3.長期修繕計画作成にあたり考慮すべき点
(1)各工事の計画起点が異なる点を計画に反映させる
(2)給排水管の修繕計画は、事前の調査費を組み込む
(3)計画に柔軟性をもたせるために、できれば予備費を組み込む
(4)同時施工が合理的と判断できるものは集約して計画時期を合わせる
(5)足場が不要な工事は切り離して計画することも検討する
(6)工事費上昇など可能な限り実態に近いものとすることを心掛ける
(7)収支のシュミレーションを重ねながら、出来るだけ資金ショートを回避する
長期修繕計画とは(国土交通省 長期修繕計画作成ガイドラインによれば)
長期修繕計画とは 分譲マンションは、専有部分と共用部分で建物等が構成されており、共用部分については、区分所有者全員で団体(管理組合)を構成し管理を行うこととなります。 建物等については、経年により劣化していきますので、それに対処するためには適時適切に修繕工事等を行う必要があります。ただし、修繕工事等の費用は多額であり、修繕工事等の実施時に一括で徴収することは、区分所有者に大きな負担を強いることとなります。場合によっては、費用不足のため必要な修繕工事等が行えず、建物等の劣化を進行させることとなり、それにより、あとで大きな負担が発生するおそれもあります。 長期修繕計画は、そのようなことがないように、将来予想される修繕工事等を計画し、必要な費用を算出し、月々の修繕積立金を設定するために作成するものです。
